「マリオ」とコラボ、ベンツ小型SUVで新戦略 任天堂の力を借りる狙いとは

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ベンツブランドを展開する独ダイムラー社は、来年までに「ニュー・ジェネレーション・コンパクトカー(NGCC)」と呼ぶ5つの小型車を投入する計画を進めている。各国で厳しくなる環境規制に対応する形で自動車各社が進める「ダウンサイジング(小型化)」の流れを受けたものだ。

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GLAのダッシュボード周り(撮影:大澤 誠)

すでに日本でも発売されている「Aクラス」(292万円から)、「Bクラス」(299万円から)、「CLAクラス」(344万円から)に続き、この「GLAクラス」は4つ目のNGCCモデルとなる。「詳細は話せないが、来年にはもう1車種を追加する予定」(メルセデス・ベンツ日本のマーク・ボデルケ副社長)という。

小型車の品ぞろえを強化したことで、日本でもベンツの販売は好調を維持している。2013年度の販売台数は5万9774台と過去最高を記録。前年度を約4割も上回る結果となった。昨年1月に投入した「Aクラス」の台数が5倍近くまで伸びたことが大きい。「従来の購入層の平均年齢は比較的高かったが、(ローンを組みやすくするプログラムなど)ファイナンス商品も充実させたことで、30~40代のお客様に裾野が広がった」と上野社長も話す。

そうした30~40代の層は、まさにファミコンで「スーパーマリオブラザーズ」に熱中した世代。マリオを広告宣伝に使うことで、ファミコン世代をさらに取り込むのが狙いだ。

増税後の落ち込みは「予想より小さい」

夏には任天堂のゲーム機「Wii U」で遊べるレースゲーム「マリオカート8」に今回のGLAクラスのカートをダウンロードできるようになる。秋にはベンツが六本木の東京ミッドタウンに構えるブランド発信拠点「メルセデス・ミー」でマリオカートの大会も行われる計画が組まれている。

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「マリオカート8」にも登場予定(©Nintendo)

「任天堂さんが快く話を受けていただいたことで、僕らとしても『こんなことやあんなことできないの』という風に色々提案した。楽しくやって、(メルセデス・ミーに)気軽に来られる雰囲気を作りたかった」(上野社長)。

今年後半には主力セダンの新型「Cクラス」や昨年発売の最高級車種「Sクラス」の2ドアクーペも投入される。消費増税前の駆け込み需要で1~3月は前年比5割増と大きく膨らみ、4月の販売台数は同約16%減となった。上野社長は「4月は予想していたより落ち込みが小さかった。(GLAクラスのCMなどで)話題を集めて6月に助走をつけ、7月以降は再び盛り上げたい」と意気込む。

マリオ効果で思惑通りに30~40代の顧客を取り込めるだろうか。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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