KDDIのJCOM「買収」、大胆な経営判断が裏目に
「6割ものプレミアムを実際の事業で取り戻すのは至難の業だろう。過半ならまだしも、3割ちょっとの出資ではなおさらだ。アクセス回線を使いたいと要求したところで、JCOMから拒否されたらどうするつもりなのか」(大手証券会社のM&A担当幹部)。
市場でも冷めた見方が多く、破格の買収が発表された翌日、KDDIの株価は上昇するどころか急落。わずか1日で時価総額の約1割が吹き飛んだ。
打倒NTTを掲げ、大型買収に打って出たKDDI。結果的に、「法律順守」と「契約履行」の板挟みに陥った。取得予定時期としていた2月中旬を迎え、事態打開のすべは見えてこない。過半数に満たない株式取得のために多大なリスクを抱え込み、巨費を投じることを「是」とした経営判断は正しかったのか。その妥当性が問われている。
(桑原幸作、渡辺清治、中島順一郎 =週刊東洋経済10年2月20日号)
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