マンション管理組合、年1万の役員報酬は妥当か 面倒さゆえに役員就任を拒む人も増えている

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マンションの管理組合は、会議室に集まって議論し、議事録などをプリントして配布し、管理事務室にこうした資料の原本を保管するといった旧来型の運用が長いことなされてきた。そこへ、新型コロナウイルス感染対策の問題が浮上した。

理事会の開催はもちろん、年に1回は開催が義務づけられている管理組合の総会の開催もままならず、活動がフリーズした管理組合も多かっただろう。議事録をデータで保管したり、Web上で承認したりといったITを使った運用も増えつつあったが、ここへきてオンライン会議を理事会や総会で活用するといった動きが加速している。

ITを活用した理事会も

マンション管理業協会が公表した「マンション管理トレンド調査2020」によると、「ITを活用した理事会」を導入済または検討中の管理会社は31%に達している。また、同協会では、ITを活用した総会の実証実験を行っているという。

このように、マンションの管理組合を取り巻く環境はさまざまに変化している。それに応じて、新しいルールを取り入れる管理組合も増えている。一方で、旧来どおりのやり方のままという管理組合もあるだろう。管理組合が健全な活動をしているかどうかで、マンションの資産価値も変わってくる。適切な管理がなされて資産価値を維持するマンションと、そうでないマンションの差は、ますます広がっていくだろう。

マンションを購入したら、報酬がなくともぜひ役員に就任してほしい。各人が仕事をしていたり、個々にネットワークを持っていたりするので、そうしたものから得たノウハウを取り入れることで、管理組合も活性化することだろう。自分たちのマンションの資産価値は、自分たちの手で守ってほしいものだ。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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