マンション管理組合、年1万の役員報酬は妥当か 面倒さゆえに役員就任を拒む人も増えている

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役員の成り手不足を解消する手立てとして、(1)外部専門家の役員選任(2)役員報酬などが挙げられる。管理規約を改定して、マンション管理士などの専門家に委託して、役員に選任することも可能だ。また、一般的に理事会の役員就任は無報酬となっているが、管理規約を改定して、役員報酬を設定することも可能にしている。最近では、役員に就任しない人に一定の金銭的負担を求める事例も出てきている。

マンション管理会社の大和ライフネクスト「マンションみらい価値研究所」がいくつかの調査結果を発表している。大和ライフネクストが管理を受託しているマンションの管理組合に対象が限定されるが、一定の傾向が読み取れるだろう。

まず、「管理組合の役員報酬・防火管理者報酬の実態について」のレポートによると、役員報酬制度がある管理組合は9.4%。1割近くの管理組合が役員報酬制度を導入していることになる。導入している管理組合の傾向として、築年数が経過したマンションほど導入事例が多くなるという。組合員の高齢化や賃貸化などが影響していることがうかがえる。

役員報酬の年平均額は1万円程度

では、役員報酬はいくらになるのだろう?
「各役員一律」で支給する場合では、固定報酬の事例と会議などへの参加の都度支給する事例があり、次の通りだった。

●固定報酬の年額の平均額:12,130円(月額平均1,011円)
●参加の都度支給する場合の平均額: 1回当たり2,929円

一方、「役職ごとに異なる」・「理事長のみ金額設定が異なる」・「一部の役職のみに支給」の場合で、それぞれの役職ごとに平均額を見ると次のようになる。

支給方法の違いはあれども、この金額なら役員を引き受けたいというほどの金額ではないだろう。基本的には不平等感の緩和だったり、成り手不足のなかで役員に就任することへの謝礼だったりというレベルの金額設定と思われる。

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