そしてさらに大きな問題点として、今の日本の教育では子どもたちが「自分がどんな人間なのか知る課程が少なすぎる」と仁禮さんは指摘する。
「幼稚園や小学校は自己発信の期間なので、大人はそれを受け止めることが大切ですが、中学校からは自分はどんな人間なのかということを、考え始める時期に入るため、それを一緒に考えてくれる大人が必要になります。伸ばせる才能は伸ばし、足りない部分は補っていく。それには多角的に自己を捉えることが何よりも重要になってくるのです」
これから日本の教育を、私たちが変えていく。その強い気持ちで、仁禮さんは「TimeLeap Academy」でモデルケースをたくさんつくり、新たな教育の方法論を探っていきたいと語る。

「私たちの事業で“自己認識”を柱に置いているのも、自分は何者なのかを早く知ってほしいからです。起業家体験をきっかけに自分はどんな人間なのか、わかった状態でアウトプットできたり、そこからまた振り返りができるような人になってほしい。
学校という限られた場所だけではなく、社会も勉強の場として使ってほしい、その中で自己を探っていく。社会を認識するためのいろんな視点を持ってほしいのです。
もし中学、高校で自分の特徴を知ることができれば、その先の進路を選ぶときに、納得できる選択肢を選ぶことができるはずです。ピアノを習ったり水泳を習ったりするのと同じように、起業家経験を通して、実際にさまざまな課題にぶつかったり何かを成し遂げたりする過程で自己を知り、社会と接続する方法を学んでほしい。
私たちの一番の目的は起業家を輩出することではありません。あくまで自らの人生を切り拓く力を身に付けてほしい。そんな願いを持って今事業を行っているのです」

1997年6月6日生まれ。慶応大学総合政策学部在学中。「TimeLeap」の代表取締役。中学2年生にして起業。教育事業を手がける。2016年にはハーバード・ビジネス・レビュー「未来を作るU-40経営者20人」に選出されるなど注目の起業家。
TimeLeap(https://www.timeleap.today/)
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