昇降機フジテックがモノ言う株主に狙われる訳 過去最高益更新でも、日本の商慣習に疑問符

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こうした市場環境を踏まえ、6月の株主総会前に東洋経済の取材に応じたオアシスのセス・フィッシャー代表は、「(海外のオーチスなど)同業の昇降機専業企業と比べ、フジテックは営業利益率が低い。アフターサービスを集約してアグレッシブにやっていけばもっとマージン(利益率)が上がるはずだ」と指摘する。

フジテックの業績は好調だ。2020年3月期は売上高が1812億円(前期比6.1%増)と過去最高を更新し、営業利益も133億円で前期比29.7%増の大幅増益となった。ただ、昇降機の新設事業と保守や修理などのアフターマーケット事業の売り上げ比率は51対49で、この比率は前期とほぼ変わらない。

固定化するメンテナンス市場のシェア

フジテックが簡単にメンテナンス契約台数を伸ばせないのには日本の昇降機業界の事情が関係している。昇降機の世界シェアではオーチスとシンドラー、コネなどの欧米企業が上位に並び、フジテックは三菱電機や日立製作所、東芝などに次いで世界8位にとどまっている。

フジテックの売上高の4割を占める日本市場では、日系4社でシェアの多くを占めているとされる。

フジテック幹部は「欧米は古くから昇降機を設置してきたため、保守対象台数の規模が違う。日本では安心・安全をより求められるため、保守企業のM&Aをする際にも(製品やサービスの質などを)かなり厳しく精査をする必要があり、欧米とは事情が異なる」と説明する。

日本ではメーカー各社は赤字覚悟の安い価格で新設エレベーターを受注し、アフターサービスなどのメンテナンス契約を同時に請け負うことで儲ける戦略をとる。また、最近まで各メーカーが自社のエレベーターの構造に関する資料や保守のマニュアルなどを基本的には開示せず、純正部品も積極的に供給してこなかった。そのため、自社や系列会社が設置したエレベーターは、同じ会社がメンテナンス契約をほぼ独占的に行う慣習が形成されてきた。

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