秒単位の短縮で実現「新幹線のぞみ12本ダイヤ」

清掃時間を短縮、東京駅ホームには秘密兵器

東京駅の東海道新幹線ホームは14番から19番まで6つあるが、ホームにつながる線路は上下1つずつしかない。さらにホームによっては発着する列車の進路をふさいでしまう。そのため、列車の到着と出発をいかにスムーズに行うかもカギとなる。

列車の自動列車制御装置(ATC)を改良し、停止に向けて自動でブレーキがかかるタイミングをほかの駅より若干遅らせ、高速でホーム内を進行できるように改良。ほんの数秒だが、停止までの時間をやや短縮した。また、自動ブレーキ作動後は、運転士が手動でブレーキをかけて列車を停止させるが、それを補助する「停止操作アシスト機能」を新たに導入。万が一、運転士のブレーキ操作が甘かった場合にこの装置が停止動作をサポートする。

「安全、操作、乗り心地、時間短縮効果のバランスの最適化に苦心しました」と語るのは新幹線鉄道事業本部の西村浩一・車両部車両課担当課長。ATCの専門家だ。時間短縮だけでなく利用者目線で各種技術にこだわってATCをセッティングした。アシスト機能もそのブレーキングは緊急ブレーキといった類いのものではなく、乗客が気づかないレベルの滑らかさだという。

駅のホームにも秘密兵器

駅ホームにも「開通予告表示灯」と呼ばれる新装置が設置される。「開通予告表示灯」は、間もなくポイントが切り替わることを伝える装置で、現在ではポイントが完全に切り替わってから駅員と車掌は出発に向けた作業を開始するが、この装置を導入することでやはり時間にして数秒間だが、出発動作の開始を早めることができる。

この数秒の積み重ねで、運行本数を2本増やすことができた。開通予告表示灯は東京駅以外の駅に導入される予定はない。費用対効果を勘案した結果だという。それだけ東京駅での1秒の削り出しの重要性が高いということだ。

運行本数が増えれば、線路の保守や電気系統、運行システムの情報処理能力の増強といった細部までの改良が必須となり、これらも併せて実施されている。

新幹線というと、どうしても車両に光が当たりがちだが、「のぞみ12本ダイヤ」は、こうした多くのスタッフの努力の賜物なのだ。

本記事は週刊東洋経済2019年11月2日号に掲載した記事「チームプレーでついに実現 新幹線「のぞみ」12本ダイヤ」を再構成のうえ、大幅に加筆して掲載しています。
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