早稲田大学の隠れた“含み損”80億円、波紋を呼ぶ決算処理


 参考価格によると下落率は40%強だが、「商品は複数。個別商品の詳細は開示していないが、『参考価格』で見れば50%以上下落している商品もある」(同)。50%以上の下落となれば、強制評価替えの対象になるはず。だが、あくまでも「時価はない」というのが早稲田大の立場だから、減損処理は当然していない。

 これに対して「ウチは監査法人から厳しく言われたのに“天下のワセダ”がそんなことをするのか……」という声が、他大学からは聞こえてくる。複数の公認会計士も、「少なくとも大手の大学では聞いたことがない」と首をひねる。

もちろん、仕組み債はオーダーメードで大学ごとに商品内容の異なる場合が多いため、単純な比較はできない。適正に会計処理されているのであれば「他大学がやったから」という理屈は通らないだろう。

だが、実は早稲田大は07年度決算でも同様の決算処理を行っていた。そのときの「時価のない有価証券」の注は「この計上額には元本毀損リスクのない複合金融商品が含まれている」という一文のみ。それが今年度は「注記の注」という形ではあれ、資産の現状を記載したのは「気にしている方々も多いので」(同)だという。

収入源の多様化を図りたい大学にとって、資産運用の重要性はますます高まっていく。その成果については、商品構成や保有残高、資産運用収入、時価情報などを見て総合的、長期的に評価する必要がある。それだけに、今後はますます情報開示の充実が求められることだけは確かだ。
(週刊東洋経済)

※表注:週刊東洋経済2009/10/24号綴じ込み附録「大学四季報」掲載大学で、東洋経済実施のアンケートで判明した有価証券評含み損とデリバティブ評価損の合計20億円以上を記載。100万円以上の概数。「−」は「0」または未記入

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