「日本式」ジャカルタ地下鉄、開業半年の通信簿

定時運行率ほぼ100%、停電時も迅速対応

8月4日の大停電時、筆者はKCI(インドネシア通勤鉄道)のジュアンダ駅のエキナカで昼食をとっていた。当初は日常的な停電かと思っていたが、店舗だけではなく駅施設も真っ暗で、改札機を含めた信号・運行管理システムの機器のみが非常電源で稼働していた。ただ事ではないと思いホームに上がると、当然ながら架線への送電もストップしていた。

KCIの駅社員たちも情報収集と乗客対応に追われており、ジュアンダ―ガンビル間の高架線上で停車していた電車1編成から乗客の避難誘導が始まったのは停電発生から約45分後のことだった。

ではその頃、MRTJはどうだったか? インドネシア初の地下鉄である。非常灯が点灯するとはいえ、真っ暗になった車内で乗客がパニックになるのは想像に難くない。当時運行中の列車7本のうち、2本が駅間のトンネル内、2本が駅間の高架上で停車した。MRTJは非常時に備え2系統の電源を確保しているが、この時は両系統がダウンするという想定以上のものだったという。

「びっくりするほどの手際よさ」

だが、避難誘導は停電発生の5分後には開始され、約1時間でおよそ3400人の誘導を完了した。

MRTJ社員の訓練で説明する宇都宮氏(中央)(写真:MRTJ)

「地震や停電のとき、われわれもびっくりするくらいの手際のよさで停止や乗客の避難誘導を進めていた」と話すのは、プロジェクト当初からMRTJの運営支援を続けてきた日本コンサルタンツの宇都宮真理子氏だ。

ちなみにこの宇都宮氏、首都圏在住の方なら覚えているかもしれないが、今から20年ほど前、朝のNHK番組内でJR東日本輸送指令室から各線の運行状況を報告していた「あの人」である。

日本コンサルタンツはMRTJ運営維持管理コンサルタントJV(OMCJ)の幹事会社であり、開業前後の時期にOMCJには主にJR東日本や東京メトロ出身者を中心として、運行・技術・マネジメントの各部門に約20人の日本人が常駐していた。

MRTJはKCIなど既存の鉄道会社からの転籍者がほぼ存在しない。しかも、開業前の試運転は昨年12月にようやく始まった。限られた時間内の中、異常時の訓練に割けたのは開業直前の10日間ほど。しかし、鉄道運営の経験が少ないからこそ、逆にその吸収力は目を見張るものがあったと言う。

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