新幹線優先?密室で「青函貨物廃止」案を議論中

東京―札幌間「4時間半」実現への最大の難所

まず、コンテナ列車ごと積み込むのではなく、貨物列車からコンテナを積み替える貨物新幹線の改良案。貨物列車の台車がない分、重量が減る。また、青函共用区間だけでなく、札幌から青森まで直通することを想定しており、所要時間が現状より短縮するというメリットもある。しかし、貨物列車が機関車で貨車を牽引しているのと同様に、新たに新幹線機関車を開発する必要がある。

日本にないタイプの車両であり、2030年度までに開発が間に合うかは未知数だ。また、大量のコンテナを貨物新幹線に積み替える設備を新造するコストが4300億〜6400億円かかる。

これらの問題点を解決するために考え出されたのが、コンテナではなく、現行の新幹線列車の客室から座席を撤去して宅配便業者などが用いる小型のパレットを積載するという方法だ。JR九州の初代社長を務めた石井幸孝氏が11年ごろから提唱しているアイデアで、「コンテナ式が本命だが、パレット式は現状に風穴を開ける方法として考えた」という。

東京メトロが宅配便会社と共同で実施した列車による荷物輸送の実証実験(撮影:尾形文繁)

すでに東京メトロが宅配便各社と共同で荷物を列車で運ぶ実証実験をしており、実現性は高い。積み替え設備の設置費用も600億〜1800億円と想定されコンテナ式よりも安価だ。だが1列車当たりの積載量がコンテナ式の4分の1程度しかなく、すべての鉄道貨物を運び切れない。つまり、現状の鉄道貨物をすべて運ぶためには、他の輸送手段と併用することが必要となるわけだ。

船舶による輸送案も

国は船舶による輸送案も検討している。船舶案は2つあり、1つは鉄道連絡船方式。かつての青函連絡船を復活させるアイデアだ。1隻当たり65億〜90億円を投じて6〜7隻を新造し、ピストン輸送を行う。

ネックは青函連絡船時代に用いられた貨物列車との積み替え施設が撤去されてしまっているため、積み替え施設を新たに建設する必要があること。北海道側は室蘭港、苫小牧港、本州側は青森港、八戸港が候補として挙がっているが、港への線路敷設も含めた用地費・建設費は540〜1190億円の費用が想定されている。

また、1隻当たりの建造に5年半かかるとされる。はたして2030年度までに間に合うか。

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