日本の教育機関初、上智がタイに会社設立 「東南アジアのハブ」バンコクで事業を開始

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留学や海外プログラム参加を後押しするため、大学側も一丸となって取り組んでいる。今年度から上智大学にクオーター制(4学期制)に導入したのもそのためだ。例えば、5月末に海外留学から帰国した学生の場合、2学期制では前期は単位を取ることができない。しかし、クオーター制ならば6月からの学期において単位の取得が可能になる。今後は、2カ月スパンでの短期留学や海外派遣プログラムを充実させていくという。

「ASEANハブセンターの活動の一部として、これまでにもバンコクでの留学フェアなどに参加してきましたが、それだけでは不十分だと感じていました。そのため、Sophia GEDでは、留学支援サイトの立ち上げに加え、現地の大学や高校に直接出向き、説明会を行って上智大学の魅力を伝えていく予定です。そういった機動性を確保できるのも、現地での会社法人化の大きなメリットといえるでしょう」(廣里教授)

タイでつながる上智ネットワーク

今回の事業会社の立ち上げには、上智大学のネットワークが生きている。実は、株主であるタイの3現地法人からの出資は、いずれも上智大学の卒業生のコネクションによって実現したのだという。さらに、自身も上智大学の出身である廣里教授にとっても、Sophia GEDの設立には特別な思いがある。

廣里恭史教授 国際学修士(上智大学)、博士(ピッツバーグ大学)。世界銀行、アジア開発銀行などを経て、2014年着任。ラオス・ベトナムでは勲章を授与されるなど、現地の教育開発に貢献した

「大学院修了後、博士号取得のためにアメリカに留学していた際、タイ人ファミリーの家に間借りして、学費や生活費の面でも大変お世話になった経験があります。タイを含む東南アジアの国々に恩返しがしたいという気持ちもあって、アジア開発銀行に足かけ25年間勤務し、主に教育・人材育成事業に取り組んできました。今後は、バンコクに拠点を移し、これまでに蓄積した経験や築いたネットワークを母校や日本と東南アジアの若い世代のために生かしたいと考えていました。この事業会社が大学による海外展開の1つのモデルとなるよう、全力で取り組んでいきます」(廣里教授)

上智大学が先陣を切る事業会社という形態は、他大学にとっても海外展開の重要なモデルになるはずだ。さらに、現地企業にとっては日本の大学の事業会社への出資という新たなビジネスチャンスが生まれる。上智大学の先駆的な試みに、日本の教育機関、そしてASEANから熱い視線が注がれている。