パワハラが多い会社に「未来はない」単純な理由 「愚痴の多い飲み会」ばかりの会社は黄色信号

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先日、電車に乗っていて、こんなシーンに遭遇しました。スーツを着たサラリーマンらしき男性数人が、つり革につかまりながら、話しています。周りはおそらく20代から30代前半、真ん中には50代とおぼしき上司が立っておられました。

内容としては、最近のニュースに対する論評と、自分たちの仕事の話が半分ずつ、というところでした。いわゆる世間話ですね。これ自体は、よく電車の中で見かける日常の光景です。ただ、その会話になんとなく耳を傾けているうちに、私はだんだんと、何ともいえない倦怠感や疲労を覚えてきたのです。

なぜか。それは、上司と部下との間に圧倒的な「上下」の関係があって、それがいつまで経っても、ピクリとも揺るがないことを、ひしひしと感じたからです。

上司の方は、別に特段に高圧的というわけでもないし、言葉遣いがキツいというわけでもありません。部下も、別に媚びへつらっているわけでもないし、萎縮しているわけでもない。ただ、この両者の間にある上下関係は、このあと、どう会話が転んでも揺るがないであろうということが、強く伝わってきたのです。

会話をリードするのは終始、上司ばかり。部下はただ、上司の話に反応し、同意しているだけ。結局、彼らが電車を降りるまで、部下が自分の意見を投げかけたり、話題をリードしたりするシーンは見られませんでした。

諸悪の根源は「固定化した上下関係」

固定化した上下関係。私はこれこそが、「パワハラ」を生む土壌だと考えています。だからこそ無意識なのです。

もちろん、組織である以上、上下関係があるのは当然のことです。ただ、それがあまりにも固定化されてしまい、他の関係性が入り込む余地がなくなってしまうと、だんだんと職場の閉塞感は増していきます。

先ほどの電車の中の上司・部下の関係性でも、もしも部下の若者が、「なんでこのおじさんの話に延々と耳を傾けなければいけないんだ」という顔を見せたり、上司のほうが「どうしてこいつは、自分の意見を言わずに黙って頷いてばかりいるんだ」とイライラしている表情が見えていたら、私はさほど、閉塞感を覚えなかったと思います。

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