安倍首相、「祝賀てんこ盛り」で政権浮揚の思惑 夏の参院選は改選過半数の63議席超えも

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そもそも、歴史的な皇位継承行事を軸とする10連休を設定したのは安倍政権だ。4月30日の天皇退位、翌5月1日の新天皇即位と、令和への改元で国民の間に令和フィーバーを巻き起こし、それまでの政権不祥事などを一気に過去のものしようとの思惑は「今のところ図に当たっている」(自民幹部)のは間違いない。自民幹部も3月下旬に「もし、統一地方選が政権にとって厳しい結果になっても、祝賀ムードで内閣支持率も上がり、後半国会での与野党攻防も主導権を握れる」と自信を示していた。

皇位継承行事以降も、5月25日には新天皇が迎える初の国賓としてアメリカのトランプ大統領が来日する。4日間の滞在中、新天皇との会見や日米首脳会談、さらには大相撲観戦、安倍首相との3度目のゴルフ対決と盛りだくさんの外交行事が予定されている。

6月28、29日には、日本初開催となる主要20カ国・地域(G20)首脳会議を大阪で開かれる。G20にはトランプ大統領ら主要7カ国(G7)首脳に加え、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領も参加予定で、首相は首脳会議の前後に日米、日中、日ロという重要な首脳外交をこなして内外に安倍外交をアピールするとみられる。

かすむ与野党攻防、薄れる野党の存在感

こうした政治・外交日程は、昨年から首相の意を受けて政府部内で組み立てられたもので、自民党総裁3選後の最大の関門となる参院選に向けて、政権として弾みをつける狙いは明らかだ。令和新時代の祝賀ムードと華やかな首脳外交で盛り上げれば、終盤国会での与野党攻防はかすみ、野党の存在感も薄れるのは確実だ。

その一方で、衆院補選などを除けば統一選全体では自民党が優勢だったことで、政府与党幹部の間でも「これまでの亥年選挙の恐怖は薄れている」(自民選対)のが現状だ。統一選の結果を参院選に当てはめた一部メディアの試算では、自民党は改選過半数の63議席を超える可能性も指摘されており、首相サイドでも「12年前のような参院選惨敗はありえない」(細田派幹部)との安堵感が広がる。

巧妙な日程設定のポイントとなった4月1日の新元号発表も、党内保守派の反発を押さえて首相が決断したとされる。首相サイドの期待通り、「令和」が発表されたとたん、列島は大騒ぎとなり、内閣支持率も上昇した。さらに、令和の額を掲げた菅義偉官房長官は「ポスト安倍の最有力候補」との声も上がるなど一躍、時の人となった。

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