高速道路とIC新規開通で渋滞緩和へ高まる期待 スマートインターチェンジの供用開始も続々

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この時期は道路の新規開業のほかに、別表のようにスマートインターチェンジ(SIC)の開業も目白押しである。現時点で開業日が決まっていないものも含め、この3カ月で10を超すSICが開通する。全国的に大きく報道されることはないが、鉄道で言えば新たな駅が開業するのと同じ意味合いがある。今年度は、老舗の東名高速道路に使い勝手のよい2つのSICが開業するのが大きな特色だ。

スマートインターチェンジへの期待

富士・箱根への観光客やアウトレットモールへの買い物客で出口が渋滞することが多い御殿場ICの少し東京寄りに、足柄SAに併設されるSICは、御殿場ICのサブインターとしての役割を果たしてくれそうだ。

舘山寺SIAは、比較的距離の長かった浜松西ICと三ケ日ICの間の舘山寺バスストップ付近に設けられるSIAで、舘山寺温泉のほか、はままつフラワーパーク、浜名湖パルパルなどの観光地が多いエリアであることから、地元の観光関係者の期待が高いSIAだと言える。

もちろん、これらの新規開業などはいいことずくめだとは言いきれない。新たな道路が開通すると、その利便性に惹かれて車の流れが変わり、思わぬところで新たな渋滞区間が生まれるということも、これまで繰り返されてきた。新名神の四日市―亀山区間の開通で、新名神への交通量が増えれば、名神と新名神の合流地点である草津JCT付近の渋滞は今よりもひどくなる可能性は低くないであろう。

道路の開通は新たな通行車両の増加を招き、渋滞の解消には逆効果の面もある。また、地方では道路が便利になればなるほど、鉄道の赤字が増し、存続に黄信号が灯るということも実際に起きている。

この3月に高松道の全線4車線化が完成し、高松と鳴門・徳島間の車の往来が一層快適になるが、これもただでさえ苦境にあるJR四国の乗客を奪うことにつながりかねない。高速道路のファンとして、新規開業や4車線化の完成は素直に喜びたい一方、地域の足をどう守るかという視点も忘れないようにしたい。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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