自治体ファイナンスに押し寄せる金融危機の荒波--欧州金融機関からの資金供給は実質凍結

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--9月、10月の金融危機はどのように影響しているのか。

当社に限ったことではないが、日本マーケットで外資系金融機関の流動性はなくなった。当社も円資金を取りにくくなっており、しばらく動けない状態だ。ただ、自治体の資金調達は2月から5月に集中しており、今回の金融危機と時期が重ならなかったことはラッキーだった。

--9月以降、どういう対応をとっているのか。

10月にわれわれはすべての顧客を訪問した。日本銀行は(金融市場安定に向け)ものすごくがんばっていると思うが、自治体向けローン(貸付債権)は(日銀オペの適格)担保になっていない。これは理解できない。このため、われわれ外資系金融機関が円を調達しにくい状況は変わっていない。

--本国における公的資金注入の背景は?

デクシアではCEOと会長が交代し、今後は新しい経営者のもと、新しい戦略で事業を展開していく。ベルギー政府などの懸念は、デクシアがなくなると、自治体向けファイナンスが止まってしまうという点だろう。デクシアは普通の金融機関ではなく、いわばストラテジックな金融機関だ。ベルギー最大の金融機関であるフォルティスが危機に陥り、(政府の資金支援を要請中の独不動産金融ヒポ・リアル・エステートを親会社に持つ)アイルランドのデプファ銀行もデクシアと似たビジネスを行っている。(デクシアへの公的資金の注入は)その連想もあったのではないか。

--日本拠点の融資実績はどうか?

ローンと債券合計で、今年6月末時点で約1.5兆円の残高がある。うちローンは約8600億円だ。債券の売買は行っているが、ローンはできるだけ売りたくないと思っている。デクシアの日本拠点に関していえば、保有資産にサブプライム関連はゼロ。自治体向けローンと地方債しかない。

--今後の自治体ファイナンス市場の課題は?

自治体ファイナンス市場が安定的に発展していくには、日本にもカバードボンド市場が必要だ。自治体にとって、公共金融は重要。カバードボンド市場がないと、全部崩れてしまう。1.5兆円の残高は、ユーロ建てのカバードボンドでファイナンスしているが、残高をこれ以上大きくするには日本にカバードボンド市場を整備することが必要だ。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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