空前の「猫ブーム」の裏に隠れた残酷な真実 後悔なく猫を飼うにはどうすればいいか?
メディアでの露出が増えたことで人気が高まったという点で、今回の猫ブームは過去の犬ブームと重なって見えます。また猫の場合、条件さえ整えば、犬の2倍の年3~4回の出産が可能です。過剰な繁殖が行われたのちにブームが終了すれば、多数の猫の命がないがしろにされる可能性があります。
「人気猫種」を安易に購入してはいけない
2017年にCMに起用されたことから注目を集めたスコティッシュ・フォールド。珍しい垂れた耳が人気で、アイペット損害保険が発表した「人気猫種ランキング2017年」では、2位に位置する人気猫種です(ちなみに1位は混血猫のため、純血種ではスコティッシュ・フォールドが実質的1位)。
実はその垂れ耳は「軟骨の異常(骨軟骨異形成症)」によって偶然生まれたもの。もし垂れ耳のスコティッシュ・フォールド同士で交配すると、生まれた猫が遺伝子疾患にかかるリスクが高まります。そのため、優良なブリーダーは垂れ耳と立ち耳のスコティッシュ・フォールド同士を注意深く交配します。
ですが、前述したような利益を優先したい悪質なブリーダーの場合、危険を承知であえて折れ耳同士で交配することもあります。そうした繁殖が横行すれば、遺伝子疾患に苦しむスコティッシュ・フォールドが大量に出てくるかもしれません。
さいたま博通り動物病院(埼玉県熊谷市)の髙野宜彦院長も、「垂れ耳同士の交配で生まれたスコティッシュ・フォールドは、耳だけでなく骨や軟骨にも重度の異常がみられることが多く、成長過程で歩行困難になる可能性がある。正しい知識がないブリーダーの繁殖は、疾患に苦しむ猫をいたずらに増やすだけ」と警鐘を鳴らしています。
さらに、遺伝子疾患は猫がある程度成長しないと現れないため、猫の購入後に飼い主が疾患の存在を知って後悔する、あるいはペット業者とトラブルになることも予想されます。スコティッシュ・フォールドに限らず、繁殖に注意が必要な猫種は他にもいます。安易な購入には大きな落とし穴があるかもしれないのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら