卵子提供を求めて海を渡る日本人
米国で拡大しているのは精子の売買だけではない。卵子の取引も盛んだ。多くの先進国では、卵子の売買は禁止、もしくは厳しく制限されているが、米国では卵子提供による出産は珍しくない。実際、09年の体外受精のうち、約12%が卵子提供によって行われている。
卵子関連のマーケットは、規模では精子より小さいものの、1個当たりの値段が高い。
卵子提供については、米国生殖医学会が、1万ドルを超える謝礼金や、人種、IQなどに応じた謝礼金の設定を禁じるガイドラインを出している。だが法的拘束力はないため、これを破るエージェントも多い。
ジョージア工科大学のアーロン・レヴィン助教は、全米300以上の大学新聞をサンプルに、卵子ドナー募集の広告を調査した。その結果、約4分の1の広告では、対価として1万ドル以上の金額を提示、ハーバード、プリンストン、イェールなどの一流大学では、3.5万ドルを提示するものもあった。
卵子バンクの利用者は女性だけではない。独身男性のロバート・ジョンソンさん(39)は、ネットで探した卵子バンクから卵子を購入し、代理母を使って子どもを得た。「僕はプログラマーで子どもを育てる十分な財力はあるのに、数年パートナーがいない。太っているからかもしれない。今は、毎日成長していく息子がすごくかわいい。彼とキャッチボールできる日が楽しみだ」。
米国での卵子提供を求め、海外からやってくる顧客もいる。
ロサンゼルスに本社を置く、代理母、卵子提供エージェンシーのLAべビー。同社の岡垣穣二代表は「これまで日本人関連では1300人の不妊治療に携わってきた。日本人の顧客の中には、名前は出せないが、著名人もいる」と話す。
同社でかかる費用は卵子提供のドナー利用だけの場合は、3.3万ドル。これまでの成功率は、81~82%だという。成功率が高いのは、ドナーの年齢を19歳から30歳までに限定していることが大きいそうだ。
卵子提供者には謝礼金として6000ドル、2回目からは7000ドルが支払われる。岡垣代表は「学費の助けや生活費として謝礼金を使う人もいるが、目の前で全額を赤十字に寄付する人もいる」と話す。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら