上越新幹線「新潟駅」平面ホーム化の使い勝手 変貌する、首都圏と新潟を結ぶ上越新幹線

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東京駅ホームで発車を待つE4系(撮影:久保田 敦)

東京駅は23番線から発車する。進行方向前寄り16~9号車が新潟行き「Maxとき」、後寄り8~1号車がガーラ湯沢行き「Maxたにがわ」で、乗車を待つ行列の長さと人々の姿がまったく異なる。「Maxとき」はビジネススーツの行列が長く黒い人だかりとなっているのに対し、「Maxたにがわ」の列はさほどではない。だが、東南アジアからの来日客独特のカラフルさが目立つ。みな「雪」を見に行く。ホームの放送は、前後で行き先が異なり「車両間は通り抜けができません」と誤乗をしきりに注意しており、それは乗車後の車内放送も同様であった。

乗車した「Maxとき」の2階席は、東京駅時点でほぼ埋まる高い乗車率である。3列側B席もかなり塞がっている。

満席の「Maxとき」は上下階ともビジネス空間

最初からほぼ満席ゆえ、上野も大宮も1~2人が加わる程度と車内は動きが少ない。逆に、パソコンを開いている人は多い。まさに静謐なオフィス空間である。

高架橋には防音壁が築かれているので、車窓はふつうの「平屋」の位置でもギリギリとなる。そのため、煩わしい思いをせずに景色が眺められる2階席は旅行者には楽しい。一方、階下席は駅部以外ずっと壁面で、車窓風景はいっさいない。以前、日本でサッカーワールドカップが開かれ新潟も会場とされた際、海外のガイドブックに「もし、この機会に少しでも日本の風景を見たいと思うなら、あなたは階下席には乗ってはいけない」との注記があったと聞く。しかし階下席もビジネス空間ととらえると、視界にチラつくものがなく仕事に没頭できるし、「休み」に充てるにも好適だ。あえて階下を選択する人は少なからずいるようだ。

大宮を出ると次は高崎。途中駅が飛び去るように流れる(撮影:久保田 敦)

右の車窓に赤城から日光の山が見えてくると、まもなく高崎に到着。ビジネス客が下車するが、車内の空気が変わることはない。11時06分に発車すると、地形上の分岐適地の3.3km地点まで線路を共用してから北陸新幹線が左に分岐し、妙義山に向けて離れてゆく。乗車しているかぎりは相手方しか見えないのだが、分岐地点において2線の高架橋を比較すると、違いが際立つ。

国鉄時代の1982年11月に開業した上越新幹線は、新幹線公害問題が各地で発生していた時代を反映して、騒音・振動対策として非常に堅固で重厚な高架橋が建設された。10年前の山陽新幹線を上回るもので、見方によっては過剰に思えるほどだ。その分、建設費が非常に高騰した。それに対して北陸新幹線建設の時代になると、軽量化された車両との関係も十分に解析された設計がなされ、その結果、環境を悪くすることなく経済的な高架橋となり、上越新幹線よりスリムでシンプルな姿となっている。

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