シリア攻撃が示した米国の決定的な「異変」 攻撃は儀式化された劇のようでもあった
シリアの地上では、アサド大統領は引き続き自らの権力を堅固にしている。反政府勢力のグループが主要な地域で退却するなか、政府による通常の空爆が週末も続いた。イスラエル、イラン、トルコは、これまでにない規模の軍隊をもって自国内のそれぞれの代理戦争を続けている。
そして17日、米政府は新たな計画を発表した。ここへきてシリアの米軍のうち約2000人をアラブ軍に置き換えたいというのだ。これはトランプ政権が地域の意思決定を地元の権限に任せるしか選択の余地がない、と考えている兆候である。
ロシアも中国も野心を持っている割には…
シリア攻撃によって、米政府は米国が依然として地中海における支配的な軍事力であることを実証した。少なくとも軍隊を強化しようと決める際には、だ。しかしほかの地域でロシアや中国の活動が増強しており、米国の軍事力が広がっていたとしてもそれぞれの地域における影響力は弱まっていることを、意味している。実際、米海軍が対ロシアとシリアを対象に空母を地中海に移動させていたとき、南シナ海では中国が過去最大の海軍訓練を行っていた。
これらに続き、4月18日は中国が、台湾海峡で実弾演習を行った。これは中国政府の潜在的な敵国、さらには米同盟国を、この地域で萎縮させるためのむき出しの試みであると見られている。
ロシアも中国も、世界的な野心を持つ割には、いまだに東欧やアジアといったお互いの周辺地域にわざわざ焦点を絞っている。それぞれの軍がそれぞれの地域において、米軍を押し返すことができるように意図的に企てているのである。
イランや北朝鮮といったより小規模の敵国も、同じような判断を下そうとしている。これらの国は、米国がいまだに1回限りの打撃を即決で与えられる能力を保持していることを14日、思い知らされることになったものの、これらの国の最大の焦点は、大規模な政権交代を迫るような措置を米国にさせないことにある。