あのロナウドがホテル経営に乗り出したワケ ポルトガルからスペイン、米国にも進出

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こうした中、スペインなど海外進出を目指すわけだ。近年、スペインを訪れる観光客の数は伸びており、国連の世界観光機関(UNWTO)によると、2017年のスペインの観光客数は前年比約10%増の8200万人を超えた。米国を抜いてフランスに次ぐ世界2位の観光大国となった。

一方、カタルーニャ地方が独立問題に揺れ、観光客の急増などに伴って2年前から新たなホテルの建設が禁止されている中、マドリードはホテルの建設ラッシュに沸いている。今後は、フォーシーズンズやスターウッド、ハイアットなど大手ホテルチェーンもマドリードに新たなホテルをオープンさせる計画としている。

「カネ」だけが目的なわけではない

ロナウドのホテルは、こうした「激戦区」に参入することになるが、4つ星クラスのホテルは、価格と高級感の取り合いが最も厳しく評価される傾向にある。ロナウドのホテルも激しい競争にさらされそうだが、ロナウドの性格から推断して個性あるホテルになることは間違いない。すでに、2泊以上宿泊する利用者には、ロナウドの肉筆のサインの入ったサッカーボールをプレゼントすることは決定しているそうだ。

スポーツ選手が、ビジネスに乗り出すことは今や珍しいことではない。が、多くのスポーツ選手の場合、スポーツ用品などに自分の名前を入れてそれが商標ブランドとして販売されることで満足して、それ以上のチャレンジは控える傾向にある。

となると、なぜロナウドがホテル業に進出するのか気になるが、米『フォーブス』誌によると生涯年収が703億円に上るとみられているロナウドだけに、「カネ」だけが目的ではないだろう。実際、ロナウドは自分の名前とブランドCR7が彼の息子たちへと受け継がれ、それが永久に存続し続けることを望んでいるのだという。彼の長男クリスチアーノ・ジュニアはまだ7歳だが、父親のブランド製品の販促に協力して撮影スポットなどに父親と一緒に参加している。

スペインのスポーツ紙『Marca』は、「クリスチアーノ・ロナウドは、サッカー選手として成功しているのとは別に、確固たる企業組織を築きつつある」と評価している。ひょっとしたら世界的なサッカー選手としてだけではなく、やり手経営者としても後世に名を残すかもしれない。

白石 和幸 貿易コンサルタント

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しらいし かずゆき / Kazuyuki Shiraishi

1951年生まれ、広島市出身。スペイン・バレンシア在住40年。商社設立を経て貿易コンサルタントに転身。国際政治外交研究も手掛ける。著書に『1万km離れて観た日本』(文芸社)。

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