原油価格が「1バレル60ドル台」まで戻る理由 「いつのまにか」底打ち、ジリジリと上昇中

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一方、ナイジェリアのエマニュエル・イベ・カチク石油相は、「産油量は日量180万バレル未満で、OPECなどと合意した上限を依然として下回っている」としている。ナイジェリアではデルタ産油地帯で情勢不安が続いており、原油生産が制限されていたことから、当初はOPEC加盟国と非加盟国との減産合意の対象外となっていた。しかし、生産が回復しつつあることから、OPEC閣僚は7月にナイジェリアに産油制限を課し、上限を日量180万バレルに設定することで合意していた。

カチク石油相は「産油量は日量平均で約169万バレルだが、日々回復している」としている。またナイジェリアの減産合意の参加時期に関しては「実際には参加している」との認識を示し、「日量180万バレルを上限とする産油制限に合意しており、この水準以下で生産するかぎり、われわれはすでに減産合意に参加しているといえる」としている。ナイジェリアとともに減産を免除されたリビアの産油量も日量90万バレル前後で不安定であり、OPEC産油量が今後劇的に増加する可能性は低いといえる。

WTI原油価格は今後60ドル台まで上昇も

一方、WTI原油の上値を抑えているのが、米国内でのシェールオイルの増産観測である。米国の産油量が増加するため、WTI原油は上昇しないとの見方は依然として根強い。

しかし、最新週の米国内の石油掘削リグ稼働数が前週比5基減の744基と、過去6週間のうち5週間で減少し、6月以来の低水準となるなど、状況は変わりつつある。9月は月間ベースでは2カ月連続の減少になり、減少幅は2016年5月以来の大きさとなる見通しだ。

また、四半期ベースでも7~9月期は2016年4~6月期以来の減少となる見込みである。原油相場の軟化で企業が掘削活動を縮小しており、14カ月続いた回復基調が失速することになる。WTI原油の安値圏での推移が継続したことで、採算が悪化しているシェール企業で増えている可能性があるといえる。さらに米国内ではリグ当たりの生産量はすでにピークアウトしている。生産効率は低下し始めており、これも価格の下値硬直性を強めることになるだろう。

冒頭の石油製品在庫の動向も併せ、現在の米国内の石油市場の動向を市場が評価すれば、WTI原油は現在の上値水準となっている51ドル前後を明確に超え、新たなレンジに移行する可能性が高まる。以前にも解説したように、WTI原油は金や銅、ユーロと比較すると、相当の割安な水準にある。これらの市場との対比で試算したWTI原油の理論値は65ドルから75ドル水準である。したがって、最低でも60ドル台に戻すべきというのが筆者の考えである。ちなみに、WTI原油が高値から2割以上下落した後の上昇率は平均で60%を超えており、今回のケースの戻りのメドは64ドル程度になる。この点からも、WTI原油は自律反発を経て、最低でも60ドル前後に戻すのが常識的な動きであると考えている。

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