高須院長が蓮舫代表を「提訴」した勝算と意味 民進党議員の「CMは陳腐」発言が裁判に

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高須院長は、大西議員だけでなく、民進党や民進党の蓮舫代表も被告に加えると主張しています。政党に所属する議員の言動について、政党や政党の代表にも責任が発生することがあるのでしょうか。

まず、政党の代表については、

・当該議員がそのような言動をすることをあらかじめ知っていたか、知ることができたのにそのような言動を止めなかった

とか

・政党の代表が、具体的にその議員を監督する立場にあったのに、その監督を怠った

といった場合でなければ責任を追及することはできません。一般論として政党の代表が、所属する議員のすべての言動を事前に把握したり、すべてを監督したりしなければならないと考えることは難しいと筆者は考えます。

次に、政党の責任についても考えてみましょう。

民法715条1項は「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。この規定からすると、政党に所属する議員が、その政党の活動として不法行為を行った場合には、政党にも責任が発生する余地があることになります。

なお、「そもそも政党に法人格ってあるの?」と疑問をもたれる方もいるかもしれませんが、5名以上の国会議員がいるなど一定の要件を満たす政党は中央選挙管理会に届出を行い、主たる事務所の所在地で登記することにより法人格を取得することができます。

政党交付金や助成金を受け取るための制度であり、「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律」という法律で定められているのです。もちろん、民進党も法人格を取得した政党の1つです。

議員の免責特権と国家賠償の関係

高須院長が大西議員側の責任を追及していく上で最大のハードルになるのが、いわゆる国会議員の免責特権でしょう。憲法51条は「両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は評決について、院外で責任を問われない」と規定し、国会議員が本来的な使命を果たせるよう、議院における発言の自由を保障しているのです。ここで免責される責任は刑事責任の他、損害賠償などの民事責任も含まれます。

大西議員の今回の発言は、衆議院厚生労働委員会という院内でのものですから、仮に民法の不法行為の要件を満たしたとしても、裁判所が大西議員に損害賠償を命令することはできません。

そこで高須院長は、国家賠償法に基づいて、免責される大西議員だけでなく、国も訴えると主張しているものと考えられます。

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