コーチがケイト・スペードを買収したワケ 24億ドルで買収、ミレニアルに照準

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5月8日、米高級皮革ブランドのコーチは、米ファッションブランド、ケイト・スペードを24億ドルで買収すると発表した。写真は米カリフォルニア州で2015年1月撮影(2017年 ロイター/Mario Anzuoni)

[8日 ロイター] - 米高級皮革ブランドのコーチ<COH.N>は米ファッションブランド、ケイト・スペード<KATE.N>を現金24億ドルで買収すると発表した。

買収額は1株当たり18.50ドルで、これは5日のケイト・スペード株の終値に9%上乗せした水準。

ケート・スペードのハンドバッグは、さりげないロゴやカラフルかつ個性的なデザインでミレニアル世代の間で人気が高い。コーチは買収により、若い世代への浸透を図り、収益押し上げにつなげたい考え。

コーチのビクター・ルイス最高経営責任者(CEO)は電話会見で、「(買収により)新規顧客の開拓が可能になる」と指摘。米国にとどまらず、欧州やアジアのミレニアル世代の間でも高い人気を集めていることが、ケイト・スペードを買収する動機となったと説明した。

コーチによると、ケイト・スペードの顧客のおよそ60%がミレニアル世代。北米以外の売上高が全体の約15%を占める。

コーチは高級ブランドとしての地位復活を目指し、ディスカウントの抑制や販売網の絞込みを進めており、こうした戦略に沿って、ケイト・スペードの百貨店販売やオンラインでの期間限定セールを縮小する考え。一方で、アジア、欧州でのブランド展開は強化する。

アナリストからは戦略的な相性が良いとして、おおむね買収を評価する声が上がっている。

ロバート・W・ベアードのアナリスト、マーク・アルトシュワガー氏は「ケイト・スペードは商品展開、顧客基盤の観点でコーチとの補完性が高く、シナジー効果が期待できる」と話す。

ただ、ケート・スペードは足元、競争激化や百貨店への客足減少により業績が低迷。2月には身売りを求める米ヘッジファンドのカエラス・インベスターズの圧力を受けて、戦略的選択肢を模索すると発表していた。

買収は2017年第3・四半期に完了の予定。コーチは買収により、2018年度調整後利益の増加を見込む。買収完了後3年以内に、5000万ドルのコスト削減が可能になる見通しとしている。

中盤の米国株式市場で、ケイト・スペードは8.2%高の18.37ドル。コーチも5.2%高の44.90ドルで取引されている。

*脱字を補って再送します。

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