都心の地下鉄、混んでいるのはどの区間か? メトロ・都営13路線の輸送量を比較

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これらの路線の反対で、西側に向かうにつれて輸送量が減る「東高西低タイプ」が日比谷線、千代田線、副都心線だ。副都心線の場合は南北を結んでいるため、正確には「北高南低」だ。

千代田線は西側で小田急線、東側でJR常磐線と相互乗り入れを行っているが、小田急線との接続駅である代々木上原付近の年間輸送量が1億人程度なのに対し、JR常磐線側の北千住付近では2億人を超えている。実際、終電時間帯に大手町駅など都心部から千代田線に乗ると、代々木上原方面の電車はほぼ確実に座れるのに対し、綾瀬方面行きは満員だ。データもその実態を裏付けているといえるだろう。

東武線沿線と都心をつなぐ日比谷線

日比谷線も、千代田線ほどの差はついていないものの、中目黒側より北千住側のほうが輸送量が多い。同線の輸送量のピークは上野付近。JR山手線との接続駅がない東武線方面と、ターミナル駅の上野や都心部とを行き来する利用が多いことがうかがえる。

副都心線は東西というより西側の南北を結ぶルートだが、どちらかといえば渋谷から池袋に向かって利用者が増えていく傾向が見える。今回のデータは、同線が東急東横線との相互直通運転を開始した2013年度のデータのため、3年が経過した現在ではさらに傾向が変わっている可能性もある。

複雑なルートや相互乗り入れの影響で、必ずしも都心部の区間が一番利用者が多いわけではない東京の地下鉄。まだしばらくは電車もいつもより空いているかもしれないが、今年は乗り換える駅を工夫することなどで、ちょっと楽な通勤ルートを考えてみるのもいいだろう。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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