【産業天気図・海運業】海運市況絶好調で利益高水準。原油高懸念去らないが「快晴」が続く

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予想天気
   08年4~9月  08年10月~09年3月

日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社は、2008年3月期に過去最高益を記録した。今08年度は最大手の日本郵船のみが営業増益計画で、商船三井と川崎汽船は営業減益計画とばらけているが高い利益水準で、「快晴」が続きそうだ。背景にあるのはBRICs諸国の高成長。ブラジルから中国への鉄鉱石船を中心に荷動きが相変わらず活発だ。鉄鉱石・石炭・鋼材・穀物・木材などの乾いた粗原料を運ぶ「バラ積み船」の市況軟化を後半にかけて織り込んでいるために、海運市況の見方は大手3社とも厳しめだが、足元の市況価格は依然として強い。
 
 為替は大手3社とも1ドル100円を想定。ただ、1円円安による増益度は3社で分かれる。商船三井<9104>が38億円ともっとも大きく、次いで日本郵船<9101>が27億円、川崎汽船<9107>が14億円ともっとも小さい(日本郵船は経常利益ベース)。

一方、原油の前提は商船三井がC重油530ドル/1MT(メトリックトン。1メトリックトンは約1.1トン)ともっとも厳しく、以下、520ドル(川崎汽船)、500ドル(日本郵船)と続く。燃料高の感応度は、1ドル上昇で日本郵船が3.5億円の減益、商船三井が3億円、川崎汽船が2.6億円。

以下、シミュレーションをしてみる。1ドル105円で推移すると仮定すると、日本郵船が255億円の営業増益、商船三井が78億円の営業増益、川崎汽船が14億円の営業増益になる計算だ(日本郵船は営業利益ベースでの為替感応度を公表していないが、便宜上、経常増益=営業増益とおいている)。一方で、原油価格は、3月分の新日本石油と日本郵船の2社間合意価格が594.3ドル。この価格のままで推移すると仮定すると、床上昇は日本郵船にとって330億円の営業減益要因、商船三井にとっては192億円の減益要因、川崎汽船には193億円の減益要因になる。これら為替と原油の増減益要因を加味すると、日本郵船は前期比75億円の営業減益、商船三井は同114億円の営業減益、川崎汽船は179億円の営業減益という計算になる。
 
 ただ、こんなシミュレーションが吹っ飛ぶくらい、足元の海運市況は依然好調だ。バルチック海運指数は6月6日に過去最高の1万1612をつけるなど絶好調。08年3月期同様、09年3月期も海運市況の好調さに支えられて、海運大手3社とも増益となる可能性を含んだ決算期になりそうだ。

【山田 雄一郎記者】

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