味の素のメンタルヘルス回復プログラム

早期の発見・治療・休業で必ず職場復帰

健康重視が味の素のど真ん中の考え方

――さっそく「メンタルヘルス管理の方針」をお聞きしたいと思います。どのようなスタンスでメンタルヘルスの予防、および治療に当たっておられるのでしょうか?

4つの方針がある。1つ目は「早期発見・早期治療・早期休業」だ。メンタル疾患は治るという前提に立ち、早めに休んで、しっかり治す。

2つ目は「再発防止を最重点においた復帰プログラム」だ。うつ症状を緩和し、痛んだ心を治すだけでなく、休業中に痛みにくい心をつくる。

3つ目は「休業中にしっかりイメージトレーニング」だ。自己の働く姿をイメージし、違う視点で自分の価値観を点検してもらう。

4つ目は「仕事ができる状態まで回復してから職場復帰」だ。ある程度の仕事がこなせる状態まで回復していることを確認したうえで職場復帰させる。

この4方針の背景にあるのが健康管理の基本的な考え方だ。「健康は最も重要な、個人の、そして会社の資源」というのが味の素のど真ん中の考え方であり、「安全・健康が第一 業務の成果は第二」と明文化されている。

ただ健康を守るのは自分自身であり、会社はそのセルフケアを可能なかぎり支援する。メンタルヘルスでもその考え方を貫いている。

――メンタルヘルス問題を複雑にしている理由は、誰が判断するのかがはっきりしないことです。本人は判断能力を持たず、上司は対応に苦慮。人事は仕事の負荷を減らしたほうがいいと考え、外部カウンセラーは異動を勧めます。そして産業医は休業と診断する。そういう当事者間の不一致が起こる企業が多いのですが、味の素ではどのような態勢を取っておられますか?

味の素では産業医が病状をみて就業制限の判断を行い、上司や人事労務部門の健康管理担当者と必ず対応の方向性を合わせるようにしている。そして本人は休業する。休業後は復職までに5つのステップを設けた「メンタルヘルス回復プログラム」を行う。

次ページ異動はさせず、現職場への復帰が原則
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