三浦惺・NTT社長インタビュー「2010年グループ再編問題では建設的な議論をしたい」
音声収入の後退が続く中、IP系やソリューション収入の拡大でようやく業績が底打ちしたNTT。次世代ネットワーク(NGN)や国際事業に経営資源をつぎ込む狙いを社長就任1年となる三浦惺社長に聞いた。
--08年3月期は4期ぶり営業増益となった。
就任して一年経ったが、通信業界はスピードも速く変化が大きい。業績については、社長に就任したときから減益傾向に歯止めをかけたいと言ってきた。前期は計画に対して上回ったし、今09年3月期も(年金代行返上に伴う)特殊要素を除けば実質増益を見込んでいる。着実に上向いている。
--これからの成長を牽引する事業は。
国内外ともソリューション分野に期待している。NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が展開するソリューションやデータセンター事業、NTTデータが展開するSIなどだ。ICTソリューションでネットワークインテグレーション(NI)とシステムインテグレーション(SI)と、両方とも強い会社を持っているのが強みだ。NTTコムのグローバルネットワークは顧客満足度で評判いいし、NTTデータにも勢いがある。グループトータルのパワーを発揮して伸ばしていきたい。
グローバル経済は、従来の日米欧の3極を中心とする構造からかなり変わってきた。日本企業をみても東欧、ロシア、中東、アフリカ、南米への進出が目につく。新興国のICT需要は大きく、伸び率は先進国よりも高い。だからわれわれも出て行く。日本企業への対応ということでも必要だし、現地市場の開拓や拡大のためにも必要だからだ。独SIベンダーのアイテリジェンスを買収したように、M&Aを含めてソリューションの幅を広げていきたい。
つい2~3年前までは、グループ各社が海外にバラバラに出ていって事務所もバラバラに設置していたが、今はもう言わなくても同じフロアに入っている。それだけサービスが連携してきている。
--サブプライム問題の影響はあまりありませんか?
ないわけではないが、資源高を享受している地域もあるし、トータルでみたらICTの需要が減るという感じはない。中東からは、都市開発におけるIT構築をどうするかといった観点で引き合いもきているし、光回線のニーズもある。NTTグループの持つ技術に関心をもっていただくことが増えている。ベトナムでは、ハノイでアクセスラインを敷設したり、総合エンジニアリングのNTTファシリティーズが、現地企業案件を獲得している。NTTドコモも、アジア中心にアライアンスを組んで国際ローミングを拡大している。
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