「りゅうちぇる」が一気にブレークした理由 あらゆるキャラを兼ね備えたTVモンスター

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りゅうちぇるはバラエティ番組の中でも、髪型や服装を変えて格好良くキメてみたり、今とはイメージが違う気取った感じの昔の写真を紹介されたりすることがよくある。こういうやりとりを通して、「隠れイケメン」というキャラが面白がられているのだ。

第二に、圧倒的なハイトーンとハイテンション、というわかりやすいキャラもある。たとえば、さかなクン、声優の金田朋子など、甲高い声で元気に暴れ回る人は、バラエティの現場でもとにかく目立つし、その場が盛り上がる。そして、そのようにテンションの高い人に対しては、周りのタレントたちも、いろいろなことを質問したり、話を振ってみたりしたくなる。そうやって新たな化学反応が起こり、ますますその面白さが引き出されていく。

しかも、りゅうちぇるはただのハイトーン・ハイテンションではない。「やだー」と言ってはしゃいでみせたりするなど、どこか「オネエ系」でジェンダーレスな部分を残している。このオネエ系というのもまた、昨今のテレビにおいて有力なキャラのひとつだ。オネエとは性の越境者である。テレビにおける扱いは、男性でもなければ女性でもない。だからこそ、男性には嫌われず、女性には警戒心を持たれない。ズバズバとキツいことを言っても許されてしまうところがある。

りゅうちぇるもまた、この構造を巧みに利用している。彼は性的志向としては決して男性好きではないのだが、テレビに出ているときのあり方は完全にオネエ系タレントそのものだ。男性であることの義務から解放されている人特有の、自由奔放さに満ちている。りゅうちぇるがオネエ系でなかったら、ここまでのインパクトを残すこともなかったに違いない。

交際中の「ぺこ&りゅうちぇる」

さらに、これだけではない。りゅうちぇるが最も特殊なのは、「ぺこ&りゅうちぇる」という男女1組のカップルという形で世に出てきた、ということだ。結婚した芸能人同士がおしどり夫婦として一緒に出てくる例はこれまでにもあったが、結婚もしていない交際中の若い男女が「カップルキャラ」として堂々とテレビに出てくるというのは、実はかなり珍しい事態である。

一見、タブーに縛られず何でも好き勝手にやっているように見える男性芸人たちでさえも、交際中の彼女とテレビで共演したり、その女性とイチャイチャしている姿をさらけ出したりすることはほとんどない。これは男性タレントというよりも、日本人男性全般が苦手にしていることではないか。男性は、自身の恋愛事情を赤裸々に語ったり、ガールフレンドや妻と仲良くしている姿を人前で見せたりすることに抵抗を感じる人が多い。

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