スバル、過去最高益の真因 円安効果だけじゃない
以前は旗艦車種「レガシィ」のボディサイズは、日本や欧州ではちょうどいい大きさだったが、主力としてきた米国市場では室内空間の狭さを理由に販売が伸び悩んでいた。一方、もともと米国では4輪駆動の需要が高い。そこでスバルは、車体を一回り大きくしたレガシィを09年に米国へ投入。定評のあるAWDの走行性能の高さと、低重心を特長とする水平対向エンジンの組み合わせを武器とした、市場に合う商品特性が受けたちまち販売が伸びた。
今期は、11年12月に発売を開始した新型「インプレッサ」が米国での販売を牽引している。レガシィのヒットで得たブランド効果を武器に、水平対向エンジン、AWDを搭載するインプレッサも人気となった。
スバルの米国での新車販売は35.7万台と前期比で27%増の見通し。世界全体の販売台数見通し72.2万台(前期比13%増)のうち、約半分を占める“ドル箱”の米国で人気を獲得できた成果は大きい。
日本では先進安全技術で訴求
スバルが得意技術を全面に押し出す戦略は、おひざ元の日本でも奏功している。国内ではトヨタ自動車の小型ハイブリッド車(HV)「アクア」やホンダの軽自動車「N-BOX」などコンパクト車種が隆盛の時代。米国に合わせて車体が大きくなったスバルの車が、国内市場で受け入れられるには工夫した商品戦略が必要となる。
そこで登場したのが、衝突防止機能を備えた安全装備「アイ・サイト」だ。高度な安全技術が必要とされる航空事業にルーツを持つスバルだからこそ、具現化した製品の一つである。他社に先駆けて投入した同システムは、安全志向の高い日本で受け入れられ、「安全」という付加価値でスバル車の販売を押し上げている。資本提携先のトヨタ自動車と共同開発したスポーツカー「BRZ」(トヨタ名「86」)も、水平対向エンジン搭載の後輪駆動(FR)という独自性から人気を呼んでいる。
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