ABCマート、女子に人気のスニーカーで爆走 限定モデルをカップルで「お揃いコーデ」

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残りの7割は、「ナイキ」や「アディダス」、「ニューバランス」といった海外の有名なナショナルブランド(NB)。現在の人気商品は、NBによるシンプルなデザインの「クラシックモデル」と呼ばれる商品群だ。

ABCマートでしか販売していない限定カラーを展開する「ニューバランスMRL996」

これらNBについても、メーカーと一緒になって商品開発を行い、ABCマートにしかないモデルやカラーを数多くそろえている。

限定デザインの「アディダス スタンスミス」や、限定カラーを展開している「ニューバランスMRL996」などだ。

こうした豊富な品ぞろえにより、今回のスニーカーブームをABCマートはフルに享受している。

客数減でも単価アップ

ブームを背景に、採算も改善している。2016年度第1四半期の売上総利益率は55.5%と、前年同期比0.5%ポイント向上した。単価がアップしたからだ。

既存店は客数が2.5%減ったものの、客単価は5.4%上昇した。高価格帯のスニーカーが、都市部の女性や訪日観光客向けに伸びた。地方や郊外では値下げ販売をすることがあるものの、都市部では基本的に値下げをしない方針を貫いている。

また、利益率は通常PBのほうが高く、NBのほうが低い。そして最近販売が伸びているのはNBだ。しかし、先述したようにNBでもABCマート限定モデルを開発・販売している。限定商品を展開することで、希少価値を高め、他社との差別化を図ることができ、NB増販による利益率低下を最小限に抑えられている。

課題は海外事業だ。国内事業では営業利益率25%と小売業界では異例の高収益を叩き出している。しかし、売上高で2割強を占める海外事業(米国の靴卸売り事業を含む)は同8%に甘んじている。

海外事業の主力は韓国だが、その店舗数は183と日本国内の5分の1。韓国の営業利益率は11%。PB比率が日本の34%に比べて約半分しかなく、日本ほどの高収益を実現できていない。だが、2016年1~3月に13出店するなど、韓国でのプレゼンスは高まりつつあり、利益率は改善傾向。今後のさらなる採算アップが見込める。

会社側は2016年度通期の業績予想を売上高2430億円(前期比2.0%増)、営業利益427億円(2.9%増)で据え置いた。第1四半期実績の4.5%増収、7.9%営業増益に比べ、控えめだ。だが、スニーカーブームはまだ続いている。ABCマートは14期連続増収増益に向け、快調に走り続けている。

 (撮影:今井康一)

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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