オバマ・アメリカ・世界 久保文明、中山俊宏、渡辺将人著 ~米国社会の深層把握を助ける骨太の総括

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単に経済格差が広がっているだけでなく、階層や人種、地域による政治的分断は修復が不可能なほど広がり、党派的分極化も強まっている。それゆえ、大統領が高い支持率を基に政策を決定するのが困難になっている。政党と政策がバラバラな日本も問題だが、支持者と政党ごとに政策がまとまった米国では、社会全体での妥協が難しい。

中間選挙での敗因となったティーパーティについても詳しく分析する。オバマの挫折原因は、雇用回復の遅れにもあるが、財政刺激策や健康保険改革に成功したからこそ、それに反対し小さな政府を求める運動が広がった。もともとイラク戦争で大規模支出を行うブッシュ路線の修正を求める保守派の運動がその起源であった点は興味深い。

今後もティーパーティは米政治の台風の目となる見通しだが、中核が存在せずコントロールが難しい。金融緩和に反対するのも、そもそも政府を信じていないためだ。共和党寄りとはいえ、強い米国を求める立場と国防費も聖域視せず削減する立場に分かれ、共和党にとっては両刃の剣となりうる。

オバマ大統領の思想には、あるべき世界を起点とする理想主義と、あるがままの現実世界に人間は拘束されているという認識に根差すリアリズムが共存する。今でもリベラル派が支持基盤の中核だが、オバマ自身はリベラルではない。リベラル派が語る理想としての物語を、リアリストのオバマ大統領が演じているという分析は興味深い。

くぼ・ふみあき
東京大学大学院法学政治学研究科教授。1956年生まれ。東京大学法学部卒業。東大助手を振り出しに筑波大学、慶応義塾大学、米コーネル大学、米ジョンズホプキンズ大学、米ジョージタウン大学、米メリーランド大学、仏パリ政治学院などを経る。

なかやま・としひろ
青山学院大学国際政治経済学部教授、日本国際問題研究所客員研究員。1967年生まれ。同大学同学部卒業。同大学大学院博士課程修了。ワシントンポスト極東総局、日本政府国連代表部、ブルッキングス研究所、津田塾大学国際関係学科などを経る。

わたなべ・まさひと
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授。1975年生まれ。米シカゴ大学大学院修士課程修了。ジャニス・シャコウスキー下院議員事務所、ヒラリー・クリントン上院選本部・大統領選ゴア陣営ニューヨーク支部、テレビ東京などを経る。

NTT出版 2940円 278ページ

  

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