四〇〇万企業が哭(な)いている 石塚健司著

四〇〇万企業が哭(な)いている 石塚健司著

明らかな「見立て違い」から始まった捜査ながら、筋書きと現実との乖離に直面しても特捜部は撤退せず、事実をねじ曲げて強引に突き進んでいった。頼みの録音・録画制度も踏みにじられ、「粉飾する中小企業など何万社潰れても関係ない」と担当検事は豪語していた。この「歪んだ正義」の実態は検察首脳をも絶句させるものだった。

長引く不況下で懸命に経営に取り組む中小企業経営者たち。その多くは、生き残るため売り上げの水増しなど何らかの粉飾決算に手を染め、また、彼らを支える税理士や経営コンサルタントなどの多くもこれに協力せざるをえない状況になっている。

本書は、そうした中小企業の一社に焦点を当てて、東京地検特捜部の捜査によって無残に踏み潰されていく過程を生々しく描いている。綿密な取材によって特捜検察の恐るべき実態を暴きつつ、同時に会社を守るため苦闘した男たちの人間賛歌にもなっている。

講談社 1575円

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 角田陽一郎のMovingStudies
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT