居酒屋コロワイドが焼き肉「牛角」を137億円で買収
居酒屋「甘太郎」「北海道」、レストラン「ステーキ宮」などを展開するコロワイドは9月7日、焼き肉チェーン「牛角」を展開するレックス・ホールディングスを子会社化すると発表した。
コロワイドが100%出資する特別目的会社(SPC)を設立し、金融機関からレックスHD向けの貸付債権を137億円で取得。この債権を現物出資し、デット・エクイティ・スワップによって、レックスHDの普通株式66.6%を取得する。創業者の西山知義・レインズインターナショナル社長や、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズは、レックスHDの株主として残るが、持ち株比率は大幅に低下する見通しだ。
レックスHDは、貸付債権の現物出資による増資等によって債務超過を解消するとともに、既存の有利子負債(推定で500億円程度か)の全額について借り換えを実施。金利条件の改善による支払利息の圧縮で、経常損益の黒字化を狙う予定だ。
一方のコロワイドは、居酒屋業界の縮小に歯止めがかからない中、業績が伸び悩んでいる。会社側は神奈川の食材加工工場を経営戦略の中核の1つと位置付けている。5月に開かれた前12年3月期決算説明会の場で、野尻公平社長は「グループ内の店舗だけでなく、食品メーカーとして外部への販売を強化する」とし、「今後数年間でM&A資金として、大手取引先と連携して500億円を投じる」(同)との方針を明かしていた。
レックスHD傘下には「牛角」を展開するレインズのほかに、FC向けに食材を配送するコスト・イズという会社がある。信用調査会社によれば、レインズの11年12月期の業績が売上高250億円、営業利益8.9億円なのに対し、コスト・イズは売上高340億円、営業利益14億円と絶好調。レックスHD側では「コロワイドの食材加工機能とレックスのブランド力による相乗効果を見込む」としており、店舗のポートフォリオを多様化してリスクを回避するだけでなく、食材加工機能を強化することで安定的な収益基盤を築く狙いがありそうだ。
コロワイドは業績に関する影響を精査中としており、通期の業績予想を据え置いている。単純に合算すれば売上高1800億円規模と吉野家ホールディングス並みのチェーンが誕生する勘定になる。東洋経済では、今回の買収が業績に及ぼす影響を見定めたうえで、下表の予想を見直すものとする。
(松浦 大 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益
連本2012.03 101,879 3,203 2,533 773
連本2013.03予 108,200 4,800 3,700 550
連本2014.03予 113,000 5,100 4,000 2,300
連中2011.09 48,907 1,281 1,128 -49
連中2012.09予 52,700 1,230 730 -140
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1株益¥ 1株配¥
連本2012.03 7.4 5
連本2013.03予 7.3 5
連本2014.03予 30.6 5
連中2011.09 -2.1 0
連中2012.09予 -1.9 0
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