信玄餅に秘められた誕生と成長の意外な真実 老舗「桔梗屋」はどうやってファンを作ったか

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発売翌年に、武田信玄と上杉謙信の戦いを描いた大河ドラマ「天と地と」が放送されて空前の武田信玄ブームが起きた。このブームにあやかり、桔梗信玄餅は売り上げが急上昇!それまで年商2000万円に過ぎなかった桔梗屋が、その後の2年で同6倍の年商1億2000万円にまで成長した。武田信玄ブーム後も成長を続け、今では年商は58億円にも上っている。

「赤字」を「黒字」に転換する発想

あらゆる商品やサービスにおいて、どのような名称を付けるか、つまりネーミングがいかに重要なのかを物語るエピソードだが、桔梗信玄餅の成長は武田信玄ブランドだけでは片付けられない。

その裏側には桔梗屋の徹底した「無駄を省く」企業努力がある。そのひとつが、桔梗信玄餅の工場に訪れる人たちのための工場見学バスツアーだ。

バスツアーの参加者のお目当ては、お菓子のアウトレット店「社員特価販売1/2」。これは、「規格外品だからという理由だけで、廃棄するのは環境に良くない」「無駄を出さない努力をしよう」というコンセプトから生まれたアウトレットショップである。

「桔梗信玄餅」を編み出した桔梗屋相談役の中丸眞治さん

さらに、飲食部門やお菓子部門に自社栽培の野菜を取り入れるため、2010年より本格的に農業分野に進出。自社農園で栽培・生産する、トマトや小松菜、水菜、ネギなどの農作物の中から、味・品質には問題がないものの、形がいびつだったり、小さな傷が付いたため基準をクリアできなかっりする野菜を割安で販売する「グリーンアウトレット1/2」がある。

その中で最も大人気なのが「お菓子の詰め放題」。ここでは、桔梗信玄餅などの人気商品を袋に詰められるだけ詰めて220円で購入することができる。

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