オリエンタルラジオが気になって仕方がない 新ネタはお笑いなのか?それとも音楽か?

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ところが、オリラジだけは、ここであえて実験的な試みに出ました。それがこの、コントでも漫才でもない、分類不能の不可思議なパフォーマンスだったのです。司会のナインティナインもこれには驚いて、ネタ中にもかかわらず「やめろ! やめろ!」とツッコミをいれていました。本格志向のネタ番組の中であえて新しい形のネタを演じることで、オリラジは視聴者に鮮烈な印象を残すことができたのです。

この『PERFECT HUMAN』の面白さの秘密は、従来のお笑いネタの次元を超えた緻密なパフォーマンスにあります。中田敦彦さんの実弟でもあるFISHBOYはプロのダンサー。そんな彼がバックダンサーの一員としてダンスと振り付けを担当しているため、ショーとしてのクオリティが抜群に高い。楽曲そのものの仕上がりも完璧です。音楽としての完成度が高ければ高いほど、それをなぜか芸人がやっているという「場違い感」が際立って、より面白くなるのです。

「上からナカタ、下からフジモリ」

『PERFECT HUMAN』の歌詞の中身は、「nakata」を絶対的なカリスマとしてひたすら持ち上げて、褒めたたえるというものです。実はこれがオリラジの2人の本来のキャラクターにも見事にマッチしています。お笑いにおける「キャラ」というのは、何もないところから生み出せるものではありません。必死でバカのふりをしている「バカキャラ」なんて誰も見たくはないのです。その人に本当におバカな部分があるからこそ、「バカキャラ」が成り立つのです。

ひたすら自分に酔って格好つけまくり、それがむしろ異様で滑稽な印象すら与える、という『PERFECT HUMAN』における中田さんのキャラは、彼の中にもともとある要素を誇張したものです。インテリ芸人と呼ばれる中田さんは、『アメトーーク!』『しくじり先生 俺みたいになるな!!』といった番組でも、上から目線で尊大な態度を取り、理路整然と持論を述べたりしていました。

一方、藤森慎吾さんは、誰とでも打ち解けて仲良くなる人懐っこさを持っています。大御所タレントの心をつかみ、多くの女性タレントとも浮き名を流す天性の愛されキャラ。流行語になった「君かわうぃーねー」にも代表されるように、チャラいノリで相手を持ち上げて褒めまくるのが彼にはよく似合っています。

いわば、中田さんが上から目線で世の中を見下しながらカリスマを気取るのに対して、藤森さんは下から目線でへりくだりながら相手の懐に入っていくのです。「上からマリコ」ならぬ「上からナカタ、下からフジモリ」です。

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