危機の日本経済 福岡正夫・鈴木淑夫編
世界的な金融・経済危機が続くなかで、「潜在的に有利な条件が整っている」日本はどう舵取りすべきか。内需主導の経済成長路線を作り出し、「強い円」を背景に海外投資を拡大し、アジアを中心に新興国・途上国に資金と技術を提供して米欧と非連結で歩む道を求める--。こうして経済体質を変えれば、危機は切り抜けられると、本書のメインメッセージは説く。
もっとも、本書自体もこの「良いシナリオ」に乗り越えるべきいくつもの障害を示唆する。たとえば、GM破綻は金融と密接な関係にある。米国経済の悪化に弾みがつきかねない。なかでも損失保証の履行義務が金融機関に発生し、このリスクをどこまでこなせるか。また為替動向では、本当に円高シナリオでいけるか。交易条件の悪化、日本の経常黒字の急減はどうしても円安圧力になる。財政赤字との組み合わせで「悪い円安」もありうる等々。
果敢だが「熟慮された政策選択」の必要を教える。
NTT出版 1680円
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら