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<識者が語る今後の北朝鮮>ロシアとの関係はウクライナ戦争終結で薄くなる、トランプとの首脳会談の可能性あるが成果は期待薄

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経済分野において北朝鮮は、再び金日成時代の命令式、上意下達の計画経済を復活させようと努力しています。もちろん100%復活させることは不可能であるだけでなく、望ましいことでもありませんが、北朝鮮は市場経済と民間経済をある程度、周辺化させました。

現状では、北朝鮮は生存に必要な資源を海外から十分に得ているため、国内経済の効率性が多少低下しても大きな問題ではありません。そのため、反市場政策を取ることが可能になりました。

Andrei Lankov(アンドレイ・ランコフ)/1963年、旧ソ連・レニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれ。レニングラード国立大学を卒業後、同大博士課程修了。北朝鮮の金日成総合大学に留学した経験を持つ。母校やオーストラリア国立大学などで教鞭を執った後、現職。著書に、『平壌の我慢強い庶民たち』『スターリンから金日成へ』『民衆の北朝鮮』『北朝鮮の核心』など邦訳も多数 (写真:ランコフ氏提供)

ウクライナ戦争終結後のロ朝関係は減速

――ウクライナ戦争を契機に強まったロシアとの関係は、今後どのように進展するでしょうか。

重要な変数はウクライナ戦争の展望です。私が見るに、戦争が終結した後のロ朝貿易と経済協力は、今と同じ水準を維持できないでしょう。

基本的な理由は、ロシアと北朝鮮の民間経済が依然として相互補完性がないためです。言い換えれば、北朝鮮が輸出できる品目の大部分は、ロシアでの需要がありません。また、北朝鮮にはロシアが輸出する品目に対して正常な価格で購入する資金がありません。

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