ノーベル経済学賞はあくまで生身の人間が授賞を決めるもの。2025年は受賞者の業績に詳しい選考委員が複数いた
23年に受賞したクラウディア・ゴールディンはアメリカ経済史学会の会長を務めた人物。経済史の専門家であり、経済史を代表する研究者だ。
ゴールディンも、過去の一時史料を丹念に発掘してそこから大きなストーリーを紡ぐ形ではなく、自身の仮説を、歴史的なデータを基に、因果推論の手法で分析している点ではミクロ経済学的だ。現代的な分析手法を使って、歴史的な射程の長い仮説を検証するというのは、アセモグルらと共通している。
私自身、23年、24年と広い意味では歴史系の研究者の受賞が続いているから、今年は抽象的な理論研究が受賞するのではないかと予想していた。その意味で、マクロ分野で経済成長理論を専門とするアギヨンとホーウィットの受賞には違和感はない。
一方のモキイアは純粋な経済史家。25年は、理論面ではアギヨンとホーウィット、歴史的なグランドストーリーではモキイアという形で、選考委員がうまく組み合わせようとしたのかもしれない。
2023年、2024年との違い
──違和感のない組み合わせですか。
今までのノーベル経済学賞では見られないタイプのコンビネーションだったので、やはり意外ではある。




















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