「中学受験」する予定でも"小学校受験"する家庭が増えている訳、依然として《不動の人気は早慶》でも入って安泰ではない一貫校ならではの難しさ

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慶應義塾幼稚舎はペーパーがなく、慶應義塾横浜初等部や早稲田実業学校初等部もペーパーの難易度が極端に高いわけではない。評価の中心は体操、絵画、行動観察などで、学力一辺倒ではなく子どもの資質を見る形が続いている。

小学校3年生から4年間、偏差値レースに身を置くことなく、早い段階で安定した学歴が得られる可能性を考えれば、保護者の関心が高まるのは自然だろう。

一方で、中学進学後には「中学受験組」との学力差を突きつけられることもあるし、内部進学自体も年々厳しくなっている。入り口と出口だけに注目すると見落としがちだが、一貫校には一貫校ならではの難しさがある。一貫校に入ったら安泰という考え方は、今は通用しない。

だからこそ、家庭には入学後の数年間をどう支えるかという視点が欠かせない。早慶を選ぶ意味は、ブランドや安定感だけではなく、子どもの力をどう育て、どう伸ばすかという“過程”まで見通せるかどうかにかかっている。

公立への不安と私立の“選べる教育”

最近のニュースでは、学級崩壊や教師の多忙、いじめといった問題が取り上げられることも多い。トラブルを避けるために私立を選択するという家庭もあるが、子どもが集まれば、さまざまなトラブルが発生するのは私立でも公立でも実は同じ。

それでも私立には、理念やカリキュラムがはっきりしているという強みがある。英語、探究、プログラミング、非認知能力など、学校ごとの特色がわかりやすい。コロナによる学習の停滞を経験したことで、「継続性のある教育」への関心はさらに高まった。家庭が教育環境を自ら選び、子どもの学びを設計しようとする意識は今も強まり続けている。

さらに小学校の学び自体も変化している。体験、探究、表現といった非認知能力を育てる教育の価値が上がり、私立小の強みとして定着してきた。

東京農業大学稲花小学校は、農大の施設を活用した体験学習や教授が直接教えるプログラムなどで開校から数年で高い注目を集めた。また、桐朋学園小学校や桐朋小学校も、体験からの学びを重視する学校である。学習進捗ではなく、「学び方」や「学校との相性」を重視する家庭が確実に増えている。

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