「中学受験」する予定でも"小学校受験"する家庭が増えている訳、依然として《不動の人気は早慶》でも入って安泰ではない一貫校ならではの難しさ

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国公私立別 小学校の児童数推移

特に増えているのは、中学受験を経験した30代後半から40代前半の親だ。「自分たちが味わった中学受験の競争が、今はさらに過熱している。この中でわが子にどこまで負担をかけるのか」「大学入試も変化し続けていて、将来の進路がつかみにくい」「もっと早く穏やかに進路を固めたい」……。こんなふうに“出口を見て逆算する”家庭が、小学校受験へ流れ始めている。

首都圏の中学受験は、ここ数年で一段と競争が激しくなった。小3から通塾を始めるのが一般的になり、共働き家庭にとっては学習管理や生活リズムの調整が大きな負担になる。30〜40代の親は自分自身が中学受験を経験してきた世代で、その厳しさをよく知っている。だからこそ「小学校から進路を固めたい」という動きが強くなった。

大学付属校に入れば中高大までのルートが安定し、中学受験を避けられる。一方、洗足学園小のように中学受験に特化した学校も人気だ。小4までに小学校課程を終え、小5と小6の2年間を受験に集中させるスタイルは、教育を投資と捉える家庭にとって魅力が大きい。

【Aさんの例:中学受験を回避するため急遽「小学校受験」を決意】
「兄が中学受験のために小学校3年生から塾に通いはじめました。小4くらいではもう偏差値が固定し、このあと巻き返すことが難しく苦しみました。そのため弟は、急遽年長の4月から小学校受験を目指すことにしました」
【Bさんの例:早期に進路を複線化するため「小学校受験」を選んだ】
「わが家は両親共に中学受験を経験しており、受験による成長、その後の一貫校での充実した体験があり、子どもにもこの経験をしてほしいと思っていました。ただ昨今の中受事情を聞くにつれ、早慶に入れるチャンスが小学校段階にあるなら挑戦したい。もし入れなければ、中学受験に強い小学校へ進学しようと夫婦で話し合い、小学校受験をしました」

「中受か、付属ルートか」という二択ではなく、入り口で複線を引き、出口の選択肢を増やす家庭が増えている。これは子どもの小学校選びがより戦略的になったことを示している。

不動の人気「早慶」が示すもの

しかし、こうした多様なトレンドの中でも、依然として不動の人気を誇るのが早稲田と慶應義塾の付属校だ。自由な校風、知的好奇心を広げる環境に加え、大学という出口までの見通しが安定している点は群を抜いている。

中学受験は基本的にペーパーテストであり、大人でも難しい問題が出題される早慶だが、小学校受験の入り口は性質がまったく違う。

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