【生活の足、BEVとHEVどっち】スズキ「ビジョンe-スカイ」、BYD「ラッコ」、ダイハツ「K-ビジョン」、軽自動車の次世代パワートレインの行方

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e-スマートハイブリッドを搭載したパワーユニット
K-ビジョンのe-スマートハイブリッドを搭載したパワーユニット(筆者撮影)

対して、K-ビジョンは、前述のとおり、コンパクトSUVのロッキー、その兄弟車ライズが採用するシステムと同じe-スマートハイブリッドを搭載する。これは、ガソリンエンジンで発電し、その電力を使用し100%モーターで走行するシリーズ方式ハイブリッドと呼ばれるものだ。

日産の「ノート」「セレナ」などに採用されている「e-パワー」に近いシステムだといえる。ロッキーやライズでは、発電専用に開発した1.2L・3気筒エンジンを使用し、システムをシンプルな構造に設定。車格の小さなコンパクトSUVにも搭載可能な小型パワートレインを搭載する。

軽自動車でハイブリッドを展開する意味

K-ビジョンのリアビュー
K-ビジョンのリアビュー(筆者撮影)

一方、K-ビジョンは、発電用エンジンの排気量を660ccにダウンサイジングしていることがポイントだ。ロッキーやライズのパワートレインと比べ、より小型なエンジンにe-スマートハイブリッドのシステムをマッチングすることで、100%モーター走行ならではの静かで力強い走りを実現。

また、従来の660cc・ガソリンエンジンとCVTの組み合わせと比較し、約20%以上も燃費性能の向上が見込めるという。さらに、大容量の走行用バッテリーは、外部給電機能を付加することも可能。災害時などには、約4日程度、家電などの電源として使えるという。

K-ビジョンの運転席まわり
K-ビジョンの運転席まわり(筆者撮影)

このモデルを担当するダイハツの開発者によれば、「将来的にBEVの時代は必ずくるとは思う。だが、今のところ、軽乗用車の場合も航続距離が課題だといえる。販売の現場(ディーラーなど)からも、軽自動車でBEVは売れないが、ハイブリッドを作ってくれれば売るとの声もある。それらを考慮すると、現時点ではハイブリッドのほうが最適解だと考えている」という。

さらに、軽自動車向けe-スマートハイブリッドのシステムは、新型モデルに搭載するだけでなく、既存モデルへ採用できる点もメリットだという。たとえば、ダイハツの売れ筋モデル、軽スーパーハイトワゴン「タント」への採用。現在のガソリン車やターボ車のほかに、e-スマートハイブリッド車を新グレードとして追加すれば、ライバルのホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」などとの差別化が可能。燃費性能などの面で優位になる可能性も高い。

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