過去最悪のクマ被害で人気化した2銘柄はどこか、「スプレー」と「猟銃」の2社に買い殺到

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日本各地でクマの出没が相次ぎ死傷者が増える中で、政府は被害の大きな秋田県に自衛隊の派遣を決めた。株式市場では話題性を追ういわゆるミームトレーダーが、登山者や住民に一定の防護手段を提供する、あまり知られていない2社の株式に殺到している。

政府のまとめによると、2025年度に入り少なくとも12人がクマに襲われて死亡しており、過去最悪の記録である23年度の6人をすでに上回っている。

犠牲者の大半は東北地方の高齢者だ。共同通信によると、少なくとも3人の死者を出した秋田県では、この問題に対処するため自衛隊の支援を受ける予定だ。 

クマ被害の報道などを受け、クマ用スプレーを販売するティムコと猟銃メーカーのミロクが株式市場で買われている。 

両社の株価は今年に入りそれぞれ95%、27%上げ、TOPIX(東証総合株価指数)の19%上昇を大きく上回る急騰となっている。2社の取引高も急増。

ティムコは24年12月-25年8月期に赤字を計上し、アウトドア事業の需要減などにより通期業績予想を下方修正したにもかかわらず、同社株は買い進まれている。

ティムコの酒井誠一代表取締役社長は、業績があまり「良くないが、株価が上がっているという背景がある」と述べる。アウトドア用品小売りの同社は5月にクマ用スプレーの販売を開始。再入荷しても、すぐに品切れとなる。 

ティムコの時価総額は約52億円、ミロクは約45億円だ。

北海道にはヒグマがいるほか、本州などにはツキノワグマが生息。昨年開催された省庁横断会議の資料によると、北海道のヒグマ推定個体数(中央値)はここ30年間で3倍に増加し、約1万1700頭となった。ツキノワグマの具体的な個体数は把握されていない。

気候変動によりクマの自然食料源が制限され、通常の狩猟域外へ移動する要因となっている可能性がある。

加えて、日本の人口動態変化が従来の野生生物管理計画を変化させている。地方では急速な過疎化が進み、クマの個体数調整が可能な猟師が少なくなっている。

環境省のデータによると、今年4-8月に全国で報告されたクマの目撃件数は1万6000件を超えた。政府の資料によれば、特に東北地方と北陸地方で目撃が頻発し、東北地方では5月から7月にかけて最多を記録した。

著者:横山桃花、松山かの子、Aaron Clark

ブルームバーグ
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