3カ月→9カ月→27日⁉ フランスは日本もビックリの3代続いて「短命政権」、イギリスとドイツも右傾化… 欧州政治"混迷"のナゼ
移民問題や物価高、年金問題など、国民生活に直結する課題でも対立や分裂が目立っているのも日本と同様。それがSNSを通じてネット空間に広がり、政治的な対立が過激さを増す一方で、その逆の政治に嫌気がさす政治的無関心が広がっている状況は、日仏両国に見られる。
ポピュリズム政党が揺るがすイギリス
他方、イギリスでは、ブレグジット(EU離脱)の原動力であった反移民感情は、今も同国内にくすぶり続け、政権を揺るがしかねない政治課題だ。とくに前政権が決定した不法移民のルワンダ強制移送以来、移民政策が政治における中心的な争点となっている。
24年7月には、北西部の町・サウスポートでダンス教室が襲撃され、3人の少女が死亡、多数が負傷する事件が発生した。容疑者が不法移民であるとの情報がSNS上で拡散され、それに端を発した反移民暴動がイギリス各地に広がった。実際に拘束された容疑者の17歳の少年はルワンダ出身の両親の下、イギリスで生まれ育った人物だったことが判明したが、反移民感情は高まったままだ。
同国では海外投資家による不動産投資の急増によって不動産の価格が高騰しており、イギリス人が不動産を購買できない事態に追い込まれている。さらに、不動産をめぐるマネーロンダリング(資金洗浄)や空き家問題が深刻化したことから、非居住者の不動産購入に対する課税を強化したほか、不動産を持てる国外法人を登録制とした。
また、同国では政府の閣僚や官僚に有色人種を登用する例が増えている。建前上は公正や能力重視、多様性、包摂性の観点から支持している国民が多いが、一部の白人保守層の中には逆差別や宗教的価値観への懸念から、「イギリスがイギリスでなくなる」というアイデンティティー・クライシスの不安も広がっている。

こうした中で支持を伸ばしているのが、右派政党「リフォームUK」だ。同党は公的文書や党の政策主張でDEI(多様性・公平性・包括性)的な制度・役職を縮小・撤廃する方針を打ち出している。
「リフォームUK」に対する支持拡大の背景には、保守党と労働党という伝統的な二大政党に対する失望が指摘されている。
移民政策や公共サービス、税制といった既存政党が掲げてきた公約が「有権者の期待に応えていない」と批判され、政策実行能力も疑問視されている。とくに移民をめぐる問題に対する注目度と不満が上昇しており、移民の規制や国境管理を強化するという「リフォームUK」の明確な政策が評価されている。
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