3カ月→9カ月→27日⁉ フランスは日本もビックリの3代続いて「短命政権」、イギリスとドイツも右傾化… 欧州政治"混迷"のナゼ
混迷の発端は、昨年の国民議会(下院)の前倒し選挙で与党が過半数を下回ったことだ。
同国では1995年、14年続いた左派のフランソワ・ミッテラン政権が終わって以降、中道右派の現共和党と中道左派の社会党が時計の振り子のように入れ替わりながら政権を担った。だが、ミッテラン氏の置き土産と言われた高い失業率と不況の長期化、人口の1割を超えるアラブ系移民の問題を解決できない状態が続いた。
そして2017年、有権者は金融界出身の39歳のエリート、マクロン氏を大統領に選んだ。続く下院選挙では、同氏が選挙直前に結成した中道政党「共和国前進」(現「再生」)が過半数を占め、既存の大政党だった共和党や社会党は少数派へと転落した。当時、左右の既存政党議員が次々と共和国前進にくら替えした。
ただ、前述のとおり、24年の下院選挙で中道与党は惨敗。「不服従のフランス」や共産党、社会党などが構成する左派連合の新人民戦線のほか、極右の国民連合や中道右派の共和党などが入り乱れる多党化状態となり、国政はハングパーラメント(宙づり状態)に陥っている。
意外と多い日本とフランスの共通点

フランスは大統領制と議会制の混合型で、外交は大統領、内政は首相に役割が分担されている。ただ、大統領は首相を任命する権限を持つため、権限は大きい。とはいえ、現在のように下院で過半数を占める政党・連合を持たない少数政権は、信任投票や予算案の可決などでつねにリスクを抱えており、批判は大統領にも及ぶ。
最近の政治危機に対して、第1期マクロン政権で首相を務め、次期大統領選への出馬に意欲を見せるエドゥアール・フィリップ氏(現ル・アーブル市長)は「解散総選挙か、大統領辞任しか選択肢はない」と詰め寄っている。
同国は共和党と社会党という伝統的な二大政党制が崩壊し、「再生」が一時的に圧倒的与党だったが、今では極右の国民連合と極左の「不服従のフランス」が台頭し、中道政権に対する不満票の受け皿になっている。政治家・官僚と国民との距離感が広がり、不信感を露わにする有権者が極右のポピュリズム政党を支持する点は日本に似ている。
また、エリート主義が色濃く残り、国立行政学院(現・国立公務学院)卒業生が政治家や官僚になる例が多い。そのため日本と同様、政治の実権を握る官僚が批判の的になっている。さらに大都市と地方の格差が大きく、行政の目が地方に届いていないとの不満が高まっている点も日本と似ている。
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