日本の子ども、勉強ができても自信がない…《自律的に学ぶ能力を育てる「自己調整学習」が必要な理由》 "深い学び"を促す先生の問いかけとは?

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自己省察での問いかけ
(浅い)「何がわかりましたか?」
(深い)「今日の学びと、前に習った〇〇は、どうつながっている?」「今日の考え方を使うと、ほかにどんな問題が解けそう?」

こうした問いは、生徒にメタ認知を促し、知識を関連付け、構造化するきっかけを与えます。

深い学びは、効果的な学習方略(どのように学ぶか)の獲得と深く関わっています。問題を解くこと自体が目的ではなく、そのプロセスで「どのように考えたか」「なぜその方法を選んだか」「もっとよい方法はないか」を意識させることが重要です。

例えば、生徒の振り返りに対して、「その解き方を思いついたきっかけは何だったの?」「そこで図を書いてみたのは、すごくいい工夫だね」と、結果ではなくプロセスや方略を承認し、価値づけることで、生徒は「学び方」そのものを学ぶようになります

自律して深い学びができる学習者を育てる

自己調整学習は、「何をどのくらいやるか」という学習量の自己管理にとどまるものではありません。「どのように学び、なぜそう学ぶのか」という学習の質の自己管理にまで踏み込んでこそ、真価を発揮します。

私たちが目指すべきは、「自己調整学習をさせること」ではなく、「自己調整学習を通して、深い学びに至る学習者を育てること」です。その視点を持ち続けることこそ、形式的・表層的な実践を乗り越えるための最も重要なカギとなります。

そして、このような視点で日々の実践を捉え直すことこそが、子どもたちに未来を生き抜くための本物の「羅針盤」を手渡すことにつながるのではないでしょうか。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
樋口 万太郎 中部大学 現代教育学部 現代教育学科 准教授

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ひぐち まんたろう

1983年大阪府生まれ。大阪府公立小学校、大阪教育大学附属池田小学校、京都教育大学附属桃山小学校、香里ヌヴェール学院小学校を経て、現職。「子どもに力がつくならなんでもいい!」「自分が嫌だった授業を再生産するな」「笑顔」が教育モットー。オンラインサロン「先生ハウス」主催。編著書に『その自由進度学習、間違っていませんか? 失敗しない進め方』(明治図書出版)など。

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