不登校の要因特定は困難、子どもは何を考えている?「思春期の不登校」回復までの5段階、親がやるべきことと絶対にやってはいけないこと
例えば、昼夜逆転している子どもに「朝になったら起きなさい」と声をかけたり、「これからどうするの?」と問い詰めたりすることは、子どもにとっては「否定されている」と感じる行為です。このような関わりを一切やめて、子どもが好きなことを邪魔しないように環境を整えてみましょう。
相談者のAさんも息子(中学3年生)を無理に学校に行かせようとし、親子関係が悪化していました。私は彼女に、息子さんが好きなゲームや動画視聴の時間を邪魔しないように、そして夜中に一人で過ごす時間を尊重するようにアドバイスしました。
すると、少しずつ息子のほうから話しかけてくれるようになりました。次にAさんには、息子に決定権を戻すようにアドバイスしました。これまでAさんがすべて段取りを組み従わせていたため、子どもは自分の人生を歩む力がなかったからです。そのうちに、息子は自分で探した通信制高校へと進学しました。
このように、まずは子どもの心を安心させ、エネルギーが回復するのを待つことが大切です。そして、勇気づける声かけを繰り返すうちに、子どもは少しずつ自信を取り戻していきます。
特別支援コーディネーターとしての経験から…
私は、高校で特別支援コーディネーターとして不登校支援に取り組んだ経験もあります。その中で、発達障害のある生徒とその保護者の関わりを通じて、親の関わり方が子どもの様子や親子関係に大きく影響することを実感してきました。
ある親子は、子どもの「できないこと」も含めてまるごと受け入れ、子ども自身を尊重する姿勢を持っていました。その結果、子どもは安心して自分らしく過ごすことができ、学校とのつながりも保たれていました。
一方で、別の親子は、子どもの不得意な部分に対して叱責し、何とかやらせようとする姿勢が強く、子どもが反発して親子関係が悪化し、不登校が長期化するケースもありました。
発達障害のある生徒は、平均的に何でもこなすことは難しいかもしれませんが、必ず「得意なこと」や「輝ける場面」があります。しかし、苦手な部分を無理に改善しようと責め続けると、子どもは「否定された」と感じ、心を閉ざしてしまいます。
とくに高校では、学習内容が高度になり、小中学校では何とかやり過ごせていた困難が顕在化しやすく、不登校につながる要因となることが多くあります。
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