学校行事を問い直す、「例年通り」やめたら生徒に大好評だった改革実例とは? 集団で連帯して勝つ、を目指すだけはしんどい

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
秋は文化祭、体育大会、音楽発表会などの行事が増える季節。行事は例年通り運営できればOKという学校が多いかもしれませんが、行事の主役である生徒は行事を心から楽しめているでしょうか。クラスで連帯して優勝を目指したり、一部の生徒に負担が集まったりする従来型の行事だと窮屈な思いをする人も中にはいるはず。クラスごと・学年ごとという枠組みを取り払った筆者の経験も踏まえ、行事のあり方を問い直してみましょう。

本当に「例年通り」でいいのか

学習指導要領では学校行事の目標は、「学校行事を通して、望ましい人間関係を形成し、集団への所属感や連帯感を深め、公共の精神を養い、協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てる」とあります。

文化祭や学習発表会などの文化的行事については「平素の学習活動の成果を発表し、その向上の意欲を一層高めたり、文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと」。

まあ、学習指導要領だから幅広な目標になっています。個々の学校では、学校経営の最上位目標である「学校教育目標」や児童生徒の実態、地域の特色などを考えて、「この行事でどんな成長の機会にしたいのか」とか考えて企画し実行します。

とはいえ、おおむね「例年通り」の内容に落ち着く学校も多いです。この「毎年同じ活動」は、これまでの成果の蓄積があるので、完成のイメージがつかめる。毎年壁画を描いている学校では、過去の作品が校内に展示されていたりして、早い時期から「自分たちもこんなの作るんだ」とわかるし、合唱や演劇などのステージパフォーマンスにしても、動画記録などを授業の中などで見る機会があればゴールイメージが持てる。

指導する側も、前年度の資料などを参考に、反省点があれば改善して提案することができる、という利点が挙げられます。

新しいことを始めるのは大変。だから毎年同じ内容のほうが指導者側も負担感が少ないのも事実。参観に来られる保護者や地域の方々も、毎年恒例の出し物を楽しみにしてらっしゃるだろうと思うと、大幅に変えるのもためらわれる。だけど、忘れちゃいけないのは「子どもが主体となった学びの機会か」という視点。

行事の当事者はどう思っているの?

毎年やってくる学校行事に子どもたちはどんな思いを持っているのでしょう。実は、体育大会や文化祭が苦手という生徒も多いのです。これまで学校行事は、「個人」よりも「学級集団」としての協力・連帯感をもって成し遂げさせることが重視されがちでした。

例えば合唱コンクールでは合唱の出来栄えが学級のまとまりの結果のように評価されがちだったり、教員も合唱をよく仕上げることが、よい学級づくりにつながると考えていたりする人もいました。

この時期、学校を訪れると、生徒一人ひとりがプリントに「行事への意気込み」を記し、全員分を廊下に掲示している学校もあります。「金賞をめざそう!」とか「勝って学校代表になり市内の発表会に出場しよう」などと書かれているものがずらりと並ぶと、「なんだか昭和のモーレツサラリーマンみたい。これがしんどい子どももいるだろうな……」と感じます。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事