学校行事を問い直す、「例年通り」やめたら生徒に大好評だった改革実例とは? 集団で連帯して勝つ、を目指すだけはしんどい
条件は学校教育目標の「自律・承認・創造」に合っていること、つまり他者を貶めない、観る人がみんな楽しめるようなものを目指す、環境に配慮するなどのシンプルなものでした。
結果、大人が心配するようなことは起きませんでした。つまり、何もしたくない、何をしていいかわからない子がぞろぞろ出るのではないか、準備期間に手持ち無沙汰で遊んだりさぼったりするのではないかなど、そんな心配は必要なかったのです。賞も付けませんでした。
生徒の間で「これすごいね!」「おもしろかったよ!」という声かけや大きな拍手や声援が起こったから。そして他者評価がなくても「来年もできるなら、こんな風にしたいな」「ここはもっとこうすればよかった」などと前向きな自己評価ができていたから。
終了後のアンケートでの満足度は96%程度でした。残りの4%は合唱してみたかった、とか吹奏楽部の演奏をできなくて残念、もっといい作品に仕上げたかったなどでした。
教員の働き方改革だけでなく子どもたちの負担軽減も
お叱りを受けるかもしれないけど、学校行事における教職員の「働き方改革」「負担軽減」という言葉が聞かれますが、子どもたちはどうでしょう。
文化祭は「平素の学習活動の成果を発表」するよりも「文化祭のための活動」を一生懸命にやって発表する日になっています。そして、意欲もスキルもある子は一人何役もの仕事を担うことがあります。
実行委員会の中心メンバーで、合唱コンクールのピアノ伴奏、さらに総合的な学習の時間の発表会のリーダーで、閉会式の司会もやります、みたいに。もちろん学校の授業も放課後の塾や習い事もあるので家に帰ってからもやることがいっぱい。
よいものを作りたいという気持ちは誰もが持つけれど、他者から褒められることをゴールにしない。子どもたちの「好き」を大事に「この学校の誰もが楽しめるもの」を1人ででも、友達とでも考えて表現してみる場にしてみる。大人は教えようとせずに、子どもたちのトライ&ラーンの時間を作ってみては、どうでしょう。
音楽も美術も、演劇もスポーツも、怒鳴られたり怒られたりしてやるのは悲しいです。完璧主義じゃなくていいと思う。子どもたちはこの行事を楽しんでいるかな、やりたいことがやれているかな、とぜひ一度立ち止まって考えてみてほしいです。
(注記のない写真: masa1350 / PIXTA)
執筆:森 万喜子
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら