学校行事を問い直す、「例年通り」やめたら生徒に大好評だった改革実例とは? 集団で連帯して勝つ、を目指すだけはしんどい
賞を目指さないと真面目に取り組まないのではないかと考え、コンクール形式にこだわったり、外からの評価に価値を見出したりしてしまうこともあります。子どもたちも多様ですから、行事に向かって一体感を持って頑張ることに乗り切れない子もいるでしょう。
制限が多かったコロナ禍の頃を思い出してみる
もうすっかり遠い過去になったように思われがちなコロナ禍の頃、人との距離を取る、集まらない、喋らない、飲食をしない、などの感染防止策で、多くの学校で従来型の行事ができなくなりました。外部の人が学校に来ることも不可です。
でも、逆に考えると、条件をクリアできるなら、新しい視点で行事を組み立てようと考えるチャンスとなりました。当時の勤務校の様子を思い出すと、職員から次々と新しいアイディアが生まれ、トライアルが続きました。
人との距離を取る必要があるなら、大きいホールを借りてみようか。飛沫が飛ぶから合唱や合奏ができないのであれば、全員でハンドクラップを楽しもう。オンラインとリアルの併用など、それまでの「学級ごとの連帯感」から「学校のみんなで楽しもう」に移っていきました。
「パフォーマンス・デイ」のすすめ
今はこのような取り組みが少しずつ広がってきているのかもしれません。当時の文化祭の一部を生徒のパフォーマンス・デイにしました。これは、ステージパフォーマンス、作品展示、デジタル機器上のいずれかで、個人または任意のグループでやりたいことをやる企画です。
クラス単位、学年単位という枠も外しました。隣のクラスの特定の子としかコミュニケーションを取れない生徒は、学級単位が苦しいこともあります。

青森県教育改革有識者会議副議長、文部科学省CSマイスター、元北海道公立中学校長
校長在任中に、シンプルに本質を問う学校改善に取り組む。前例踏襲や同調圧力を嫌い、「ブルドーザーマキコ」というニックネームで呼ばれる。雑誌、新聞等で執筆活動、全国で講演活動や、地方教育行政へのアドバイザーとしても活動を行っている。著書に『「子どもが主語」の学校へようこそ!』(教育開発研究所)。北海道小樽市在住
(写真:本人提供)
異学年が交じり合う部活動などの集団で、1人で描きためたイラスト作品を掲示する、校内の一角を装飾する、黒板アートを描く、自分で作った衣装を展示する、展示見学タイムにはその衣装を着て校内を歩くなど、さまざまなパフォーマンスがありました。ステージパフォーマンスで人気なのはダンス、歌、漫才やコント。先生とピアノ連弾を披露する生徒もいました。