ソニー平井改革の成否、エレクトロニクス事業沈没で巨額赤字
過去最悪の最終赤字5200億円。ソニーが4月10日発表した2012年3月期の業績下方修正は、あらためてエレクトロニクス事業の苦境を浮き彫りにした。
「音楽・映画は堅調だが、それ以外が見込み以上に悪化している」(加藤優CFO)。米国での収益低下が響き、2400億円もの繰延税金資産の取り崩しを迫られた。
繰延税金資産とは、将来支払う税金が軽減されることを見越して計上する資産。収益の見込みが悪化した場合は取り崩し、費用計上する。
日本において繰延税金資産3600億円を取り崩したのが、ちょうど1年前のこと。このとき、「日本にはエレクトロニクス事業の技術開発部隊が多く、収益悪化を受けて費用計上を迫られた」(加藤CFO)と説明していた。
一方、今回の赤字の要因となった米国には、家電製品の販売会社に加え、ゲームやネットワーク事業の開発部隊がある。2期連続の巨額赤字の背景には、“お荷物”事業のテレビのみならず、ゲーム、ネットワーク事業を含めたコンシューマー商品全体の地盤沈下が見て取れる。
開発をトップダウンに
今のソニーには、稼げる商品がほとんどない。伸び盛りのスマートフォンやタブレット端末は鳴かず飛ばず。8期連続で赤字続きのテレビ事業は、今期だけで1750億円の部門赤字と散々だ。